新海誠を観よう
新海誠(しんかい・まこと)は今や世界に誇る映像作家だ。
アニメの可能性を大きく広げた。
それは作品を見れば一目瞭然。
雪、雨、夕日、そして青空の雲。
「ほしのこえ」 2002年
「雲のむこう、約束の場所」 2004年
「秒速5センチメートル」 2007年
新海誠(しんかい・まこと)は今や世界に誇る映像作家だ。
アニメの可能性を大きく広げた。
それは作品を見れば一目瞭然。
雪、雨、夕日、そして青空の雲。
「ほしのこえ」 2002年
「雲のむこう、約束の場所」 2004年
「秒速5センチメートル」 2007年

日本映画史に残る名作とまで評され、最近実写でリメイクまでされたアニメーション「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦」を観たいと思い、DVDでの購入も本気で考えていたところ、タイミングよくテレビで放送されたので、恥ずかし気もなく本気で観た。
素晴らしい映画だった。これは子供のための映画ではない。
何が良いかというと、まず第一に脚本が素晴らしい。時代考証もしっかりしており、合戦シーンは黒澤映画に匹敵する。台詞回しも大河ドラマのような現代語とは一線を画し、惚れ惚れするようなサムライ言葉が堪能できる。
第二に声優が好演している。特にヒロイン廉姫の凛々しさを観るに付けて、実写化されたとは言え、近年こんな芝居ができる若い女優はいないのではないかと、むしろ不安にすらなった。そして青空侍こと井尻又兵衛由俊(いじり・またべえ・よしとし)の生き様に、彼の旗印が示すとおり、青空に一片の白雲を見たような清々しさを憶えること必至だ。
深夜に放送されていたドラマ「妄想姉妹」が動画配信されていたので観た。長女役の吉瀬美智子と、次女役の紺野まひるの演技が良かった。一話ずつ文学作品の女主人公を演じている。
お薦めは、
第1話「みだれ髪」与謝野晶子、
第2話「虞美人草」夏目漱石、
第4話「外科室」泉鏡花、
第5話「智恵子抄」高村光太郎。
特に第7話「お勢登場」江戸川乱歩は素晴らしい。女の怖さ全開だ。
キャストもそうだが、脚本と監督も女性なのが興味深い。

副題「スターで選ぶDVD100本」のとおり、監督別ではなく、役者ごとに著者のオススメ邦画がたっぷり紹介されている。流石、作家業の前は映画評論で食っていただけあって、なるほど鋭いと唸る本だった。
特に面白く感心したのは、
大女優の成長と成熟の段階は、
「かわいい」→「美しい」→「凄い」→「怖い」
という変化の過程を辿る。
現在では岩下志麻と浅丘ルリ子が「怖い」に近付いている

数週間前、ブリュッセルの街を歩いていたら、クラシックCD屋のショーウインドーに奇妙なDVDを見つけた。
AIDAとタイトルが大書されていたので、ジュゼッペ・ヴェルディのオペラ「アイーダ」だとは分かったのだが、どうもそのジャケットに写っている褐色の不細工な女が気になった。目を凝らして見ると、SOPHIA LORENの文字が読み取れる。ソフィア・ローレン?
店に飛び込み、「あのショーウインドーのアイーダのDVDを見せてくれ」と頼むと、店主は心得たように「ソフィア・ローレンは歌っていませんけどね。珍しい映画ですよ」と手渡してくれた。
その不気味なDVDはしばらく我が家の居間に放置されていたが、今日勇気を出して観てみると、何とも奇妙な映画なのだ。
オーケストラとオペラ歌手による音声に合わせて、役者たちが口をパクパク動かしている。台詞は一切ないが、ときどき状況説明のための英語のナレーションが入る。弱冠19歳のソフィア・ローレンは主役のアイーダなのだが、エチオピアの女王でありながら女奴隷でもあるアイーダを演じるため、顔は黒塗りでシャネルズ状態、縮れ髪のカツラを冠り、折角の美貌も台無し。
とは言え、ソフィア・ローレン大好きの自分にとっては、この陳盤をコレクションに加えることができて結構満足している。でももう二度と観ないと思う。
不可思議な事件が続いた。各地で突然精神に異常をきたした人たちが、通り魔殺人を引き起こす。犯人たちは一見何のつながりもないように思えたのだが、、、
これは現代の日本の話ではない。
1967年11月19日に放送されたウルトラセブン第8話「狙われた街」の筋書きである。金城哲夫が脚本を書き、名匠実相寺昭雄が演出した傑作だ。
ウルトラ警備隊が調査に乗り出すと、犯人たちは共通して、ある駅前の自動販売機でタバコを購入していた。ウルトラ警備隊は張り込みの末、その自動販売機にタバコを補充に来た怪しい男を尾行する。たどり着いたのは、(たぶん江東区あたりだろうか)運河に面した下町の木造アパート。ちょうど夕暮れ時で、空が赤く染まり、路地からはラジオのナイター中継が聞こえてくる。
満を持してモロボシ・ダンがアパートに踏み込むと、畳敷きの部屋にあぐらをかいたメトロン星人がいた。紳士的な態度でダンを招き入れ、彼らの企てを明かす。
「我々は人類が互いにルールを守り、信頼しあって生きていることに目を付けたのだ。地球を壊滅させるのに、暴力を振るう必要はない。人間同士の信頼感を無くすればいい。人間たちは互いに敵視し、傷つけあい、やがて自滅していく。」

最近日本から届くニュースを耳にするたびに、彼らの計画は着々と進行しているのだなと思う。
先日パリのシャンゼリゼにあるバージンメガストアで、非常に珍しいDVDを見つけて購入した。パッケージのタイトルはフランス版で"Lily la tigresse"となっていたが、オリジナル・タイトルは"What's Up, Tiger Lily?"である。
1960年代に東宝は、007シリーズをパクったスパイ・アクション映画「国際秘密警察シリーズ」を全5作製作した。主演は三橋達也。いわゆるB級映画だ。
どういう訳かウディ・アレンがこの奇妙なアジア映画に目をつけ、音声を差し替え、英語の台詞でコメディー映画にしてしまっているのだ。これが彼の初監督作となってしまった。編集素材となったのは、国際秘密警察シリーズの3作目「火薬の樽」と、4作目「鍵の鍵」。
冒頭「火薬の樽」のアクション・シーンが唐突に始まり、星由里子が電動ノコギリで殺されそうになり、それを三橋達也と佐藤允が間一髪で救出する。
するとウディ・アレンが登場し、インタビュアーにこの映画の趣旨を説明し、さぁ観てみましょうということで本編が始まる。
その続きも「火薬の樽」からのシーンで、なぜか水野久美が三橋達也を誘惑し、ホテルでシャワーを浴びている間に、暴漢が三橋を襲い乱闘となる。
その後は「鍵の鍵」がほぼオリジナルそのままに、ストーリーが展開される。但し台詞はオリジナルと無関係なギャグ。途中再びインタビュアーが登場し「難解な映画ですね」などとウディ・アレンにボヤいたりする。
さて、この映画の面白さは、オースティン・パワーズまで続く、スパイ・コメディーの嚆矢となっていることだ。1964年の「火薬の樽」と1965年の「鍵の鍵」を、早くも1966年には"What's Up, Tiger Lily?"にしてしまっており、スパイ・コメディーの傑作「カジノ・ロワイヤル」は1967年であるから、本作の方がこのジャンルの元祖と言えるかもしれない。
また「鍵の鍵」に共演している若林映子と浜美枝のコンビは、そのまま1967年にスパイ映画の本家「007は二度死ぬ」にボンド・ガールとして抜擢されている。彼女たちは既に1962年の「キングコング対ゴジラ」で競演を果たしており、007のキャスティングはこの怪獣映画を見たスタッフの推薦によるものだったとの説もあるが、個人的な推理としては、オリジナルの「鍵の鍵」か、もしくは本作"What's Up, Tiger Lily?"による影響が強いのではないだろうかと考える。その方が年代的な乖離がなく自然だ。
更にこの"What's Up, Tiger Lily?"と言うタイトルも前年1965年にウディ・アレンが出演したコメディー"What's New, Pussycat?"のパクリだと思われる。
最後に珍作と呼べる決定的理由として、日本では著作権の問題があるらしく、DVDが売られていないということだ。
アレクサンドル・ソクーロフ監督の映画「太陽」をDVDで観た。
普段我々が映画と呼んでいるものとは全く異質なものだった。全編を通してほぼ室内劇であること。劇中音楽がほとんどなく、無音の長回しの連続であること。何より昭和天皇を主人公にしていること。
主演のイッセー尾形の演技には戦慄した。それは演技を越え、生き写しとも言えるような完璧さだった。
哀しく切ない映画の中にも、数カ所笑ってしまうシーンもあり、皇后との再会シーンには心が救われた。
自分は天皇崇拝の思想は全く持ち合わせないが、米兵たちの無礼や、マッカーサーの振る舞いには、強い屈辱感を覚えた。なぜだろう。それは多分、同じ日本人として、否、同じ人間として、劇中の昭和天皇に強い共感を持ったからだろう。こういう心の動きを与えてくれるものこそ、本物の芸術作品だと思う。
ずっと買い置き状態だったDVDボックスを観終えた。全10話の連続ドラマで、各話1時間前後。毎晩2話ずつ観て、昨夜全話観終えた。
第2次大戦の欧州戦線でのアメリカ空挺部隊の話。本国での訓練に始まり、ノルマンディー作戦、マーケット・ガーデン作戦、バルジ応戦、そして終戦までが丁寧に描かれている。
製作総指揮をスピルバーグとトム・ハンクスがしており、映画「プライベート・ライアン」と同じ雰囲気に仕上がっている。そのため同作からスピンオフした続編を観るように、西部戦線全体を把握できる。
単なる武勇伝ではなく、米兵による略奪や捕虜の射殺シーンなどもあり、戦争を美化していない。また戦闘シーンは、プライベート・ライアン以上にリアルでグロテスク。まさしく地獄絵図である。
但し最終話ではアルプスの美しい風景の中で終戦を迎え、野球に興じる兵隊の笑顔がまぶしい。

思いもしない日本映画が、欧州でもDVDで売られていることがあります。その一つがこれ、"Le Détroit de la faim"。フランス語のタイトルです。
この映画は初めて観ましたが、凄いの一言。こういう名画をベルギーで普通に売っていることに感動です。
さてこの映画、何だか分かりますか?
ヒント1:監督はTomu Uchida、つまり内田吐夢。
ヒント2:2時間55分のモノクロ大作です。
ヒント3:タイトルを英訳すると"The Strait of the hunger"。
そう、正解はこれ。
最近連夜このTV番組をDVDで観ている。
1995年からの初回放送時にも観たし、何度かの再放送でも観た。その上数年前DVDボックスでも購入し、こうして繰り返し観ている。
まず、加古隆のテーマ音楽が非常に素晴らしい。番組冒頭でこの曲が流れると、目を閉じていても、20世紀の悲劇が万華鏡のように迫ってくる。
実際の歴史的映像で歴史振り返るという、この当たり前のコンセプトが素晴らしい。テレビという映像装置の最も根源的な機能を活用している。作り物の映像ではなく、本物で視聴者に伝えようとする姿勢が良い。
もちろんTV番組であるから、20世紀の歴史をこれだけで学ぼうとするには不充分だが、入門編としては最適である。ここから興味や関心のある事件や人物に取り組めば、充分勉強になる。
つまり自分自身何度もこの番組を観ることで、そのたび入門者に立ち返り、虚心坦懐で歴史と向き合えるのだ。

映画も観ていないのに、サウンド・トラックを買っちゃいました。予告編を観て、あまりにも面白そうだったのと、音楽が動きの多い映像を華やかに盛り立てていたからです。
作曲者のMichael Giacchinoは立派なものです。いまどきフル・オーケストラを使って、これだけバリエーションの豊富な楽曲を書けるのは大したものです。まさに作曲家の鑑です。
映画館には観に行けそうにないけど、DVDが出たら買おうと思ってます。日本では「レミーのおいしいレストラン」というタイトルになっているそうですね。
ここ数日毎晩のように、黒澤明の映画を観ています。
「野良犬」、「悪い奴ほどよく眠る」、「天国と地獄」の3作品を三夜連続で観ました。いずれも現代劇で、制作当時の町の様子が見所の一つです。「野良犬」では、本物の戦後の闇市や、動く「4番ファースト川上」が映し出されていますし、「天国と地獄」では、高度成長前の我が故郷横浜と湘南が映っています。
そもそも正月休暇から帰独する全日空の機内で、「七人の侍」を観てしまったのがきっかけです。久しぶりに思わぬところで観てしまったので、突然黒澤熱が再沸騰してしまいました。
黒澤作品は昔から大好きで、ほとんどの主要作品を観ていますし、DVDでも所有しています。ここドイツの店頭でも、主要な黒澤作品はDVDで容易に入手できます。ちゃんとドイツ語の字幕と吹き替えまで入っています。それを購入しているドイツ人を見かけると、自分のことのように嬉しくなります。
黒澤作品の素晴らしさは、日本人が本気で怒ったり泣き喚いたりするところです。物静かで行儀の良い日本人ではなく、もっと生きることに必死になっている日本人です。黒澤映画は、そういった人間の生々しさがあったからこそ、世界で受け入れられたのかもしれませんね。
さあ今晩は、「隠し砦の三悪人」にしようか、それとも「椿三十郎」しようか。
しばらく前にDVD で、1958年のラブ・コメディー映画"HOUSEBOAT"を観ていたら、劇中にヒロインのソフィア・ローレンが唄っていた。
昔の映画では、ミュージカルでもないのに、突然役者達が楽しく歌い出すシーンがよくある。そのため女優ともなれば、演技や美貌に加え最低限の歌唱力も必要としたのだ。古くはマレーネ・デートリヒや、有名なところではマリリン・モンロー、カトリーヌ・ドヌーヴ、ブリジット・バルドーなどがその好例だ。ソフィア・ローレンのことは以前から好きで、何本も出演作を観ていたのだが、歌っていたとは知らず、全くの不覚だった。
そんなこともあって、先日偶然店頭でこのCDを見つけ、迷わず購入した次第だ。
さてこのCD1枚には30曲も収録されているのだが、ソフィア・ローレンの歌声が聞けるのは、半分の15曲だけ。他は彼女が出演した映画のサウンド・トラック名曲集になっている。この組み合わせが、実は非常に良い。
つまりソフィア・ローレンは取り立てて歌が上手い訳でもなく、耳にしたことのあるヒット曲なども持たない。但し女優として出演した映画とその音楽は非常に魅力的で素晴らしいのだ。
例えば、1963年のオムニバス映画"Ieri, Oggi, Domani(邦題「昨日今日明日」)"などでは、ソフィア・ローレンが3人のイタリー女(ナポリの子沢山の主婦、ミラノの有閑マダム、ローマの娼婦)を演じ、彼女の魅力が最大限に発揮されている。競演のマストロヤンニ演じる駄目男との組み合わせが、可笑しくどこか哀しい必見の映画だ。この映画で彼女は唄っていないのだ、サウンド・トラック4曲がこのCDにも収録されているのが嬉しい。
もちろん彼女の歌声も捨てたものではない。どちらかというとスローなバラードより、アップテンポでコミカルな曲の方が出来がよい。イタリー訛りの英語で唄っているところが可愛い。
またこのCDで、Armando Trovaioliという作曲家の名前を知った。ソフィア・ローレン出演作のいくつかに楽曲を提供しており、小振りながらも味のある映画音楽を書いている。
原題は"Memory of a Geisha"、邦題は"SAYURI"、ここドイツでは"Die Geisha"。
昨年このハリウッド映画が劇場公開されたとき、町中に高さ3メートルほどもあるチャン・ツィイーの白塗り顔のポスターが貼り出された。あまりの異様さに観る意欲も失せたが、今春DVDが売り出され、買って観てみると、期待していなかった分、良かった。
"Last Samurai"もそうだったが、西洋人の立場で、「これは遙か遠い架空の島国の話だ」と思って観ると、ファンタジーな美しさを味わえる。
一言だけだが、チャン・ツィイーの「お姐さん」と呼びかける日本語の発音は完璧だった。全編英語劇の中で、一瞬の日本語に鳥肌が立った。外国人女優が発した日本語の台詞としては、映画史上最高の出来ではないだろうか。ルーシー・リューの「ヤッチマイナァ!」も未だ捨てがたいが。
また桃井かおりと工藤夕貴が好演だった。特に工藤の英語の巧みさにあらためて感心した。
音楽は、ジョン・ウィリアムが作曲し、チェロのヨーヨー・マや、バイオリンのイツァーク・パールマン等が演奏している。日本や中国のテイストが混じり合った不思議な音楽だが、郷愁を誘うサウンド・トラックだった。
日本での評判では、中国人が日本人を演じたことや、全編英語だった事による酷評もあったようだが、自分としては日本人が音楽を担当できなかったことの方が残念だ。ハンス・ツィンマーの"Last Samurai"にしても、本作にしても非常に良くできていただけに尚更悔しい。こういう映画でこそ新進の日本人作曲家が、作品を世界に発信して欲しい。いつまでも武満や坂本ばかりでは困る。
英国の秘密諜報部員が活躍する連作映画の第2作目(1963年)の、映画音楽についてである。
映画自体としては第4作目の"Thunderball"(1965年)が最高傑作だと思うが、映画音楽としては本作に一番思い入れがある。DVDで映像を観るより、このサウンドトラック盤を聞いた回数の方が遙かに多い。Matt Monroが歌う主題曲が旅愁を誘うのだ。
ストーリーが良い。ロシア美女とイスタンブールからベネツィアへ、オリエント急行での逃避行。スパイは逃げるに限るのである。敵の秘密要塞に攻め込むような下品な話ではない。
スリルとロマンティックがこの映画音楽に満ちている。
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