2009.11.03

新海誠を観よう

新海誠(しんかい・まこと)は今や世界に誇る映像作家だ。
アニメの可能性を大きく広げた。
それは作品を見れば一目瞭然。
雪、雨、夕日、そして青空の雲。

「ほしのこえ」 2002年


「雲のむこう、約束の場所」
 2004年


「秒速5センチメートル」
 2007年

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2009.09.22

青空侍

Shinchan_2
日本映画史に残る名作とまで評され、最近実写でリメイクまでされたアニメーション「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦」を観たいと思い、DVDでの購入も本気で考えていたところ、タイミングよくテレビで放送されたので、恥ずかし気もなく本気で観た。
素晴らしい映画だった。これは子供のための映画ではない。
何が良いかというと、まず第一に脚本が素晴らしい。時代考証もしっかりしており、合戦シーンは黒澤映画に匹敵する。台詞回しも大河ドラマのような現代語とは一線を画し、惚れ惚れするようなサムライ言葉が堪能できる。
第二に声優が好演している。特にヒロイン廉姫の凛々しさを観るに付けて、実写化されたとは言え、近年こんな芝居ができる若い女優はいないのではないかと、むしろ不安にすらなった。そして青空侍こと井尻又兵衛由俊(いじり・またべえ・よしとし)の生き様に、彼の旗印が示すとおり、青空に一片の白雲を見たような清々しさを憶えること必至だ。

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2009.04.04

文學という名のもとに

深夜に放送されていたドラマ「妄想姉妹」が動画配信されていたので観た。長女役の吉瀬美智子と、次女役の紺野まひるの演技が良かった。一話ずつ文学作品の女主人公を演じている。
お薦めは、
第1話「みだれ髪」与謝野晶子
第2話「虞美人草」夏目漱石
第4話「外科室」泉鏡花
第5話「智恵子抄」高村光太郎
特に第7話「お勢登場」江戸川乱歩は素晴らしい。女の怖さ全開だ。
キャストもそうだが、脚本と監督も女性なのが興味深い。
Michiko

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2009.01.24

森繁版羅生門「神阪四郎の犯罪」

KousakaDVDで「神阪四郎の犯罪」を観て、「こりゃ典型的な羅生門エフェクトだな」と思った。
法廷で5人の証人は全く違うことを証言し、最後に被告人である神阪四郎(森繁久彌)は全てを覆すような陳述をする。結局真相は分からず仕舞いに終わる。
森繁がそれぞれの証言通り、それぞれ違った人格の神阪四郎を演じ分けている。まったく見事な演技力だ。羅生門エフェクトを使った映画は五万とあるが、これは黒澤の本家「羅生門」に匹敵する出来映えだ。
原作が石川達三だというのも興味深い。
また、設定を現代にしてキムタクでリメイクしたら面白いと思う。彼に汚れ役を演じさせたいね。

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2009.01.16

長部日出雄著「邦画の昭和史」新潮新書

副題「スターで選ぶDVD100本」のとおり、監督別ではなく、役者ごとに著者のオススメ邦画がたっぷり紹介されている。流石、作家業の前は映画評論で食っていただけあって、なるほど鋭いと唸る本だった。
特に面白く感心したのは、

大女優の成長と成熟の段階は、
「かわいい」→「美しい」→「凄い」→「怖い」
という変化の過程を辿る。

と定義し、黒澤の「蜘蛛巣城」で山田五十鈴は「怖い」に到達したと書き、加えて、
現在では岩下志麻と浅丘ルリ子が「怖い」に近付いている

には笑えた。
また監督と女優との仲については、もう少し掘り下げて欲しかった。小津安二郎原節子溝口健二田中絹代など、当時は俗な芸能ネタでも、今となっては映画史研究の新たな切り口にもなるだろう。

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2009.01.11

Tykho Moon

Tykhomoon
昔買ったDVDを引っ張り出して観ている。
今夜はエンキ・ビラルティコ・ムーンを観た。
ブレード・ランナーもそうだが、これもSF仕立てのフィルム・ノワール
ジュリー・デルピーが綺麗だった。

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2008.08.09

ソフィア・ローレンのアイーダ

Aida
数週間前、ブリュッセルの街を歩いていたら、クラシックCD屋のショーウインドーに奇妙なDVDを見つけた。
AIDAとタイトルが大書されていたので、ジュゼッペ・ヴェルディのオペラ「アイーダ」だとは分かったのだが、どうもそのジャケットに写っている褐色の不細工な女が気になった。目を凝らして見ると、SOPHIA LORENの文字が読み取れる。ソフィア・ローレン
店に飛び込み、「あのショーウインドーのアイーダのDVDを見せてくれ」と頼むと、店主は心得たように「ソフィア・ローレンは歌っていませんけどね。珍しい映画ですよ」と手渡してくれた。
その不気味なDVDはしばらく我が家の居間に放置されていたが、今日勇気を出して観てみると、何とも奇妙な映画なのだ。
オーケストラとオペラ歌手による音声に合わせて、役者たちが口をパクパク動かしている。台詞は一切ないが、ときどき状況説明のための英語のナレーションが入る。弱冠19歳のソフィア・ローレンは主役のアイーダなのだが、エチオピアの女王でありながら女奴隷でもあるアイーダを演じるため、顔は黒塗りでシャネルズ状態、縮れ髪のカツラを冠り、折角の美貌も台無し。
とは言え、ソフィア・ローレン大好きの自分にとっては、この陳盤をコレクションに加えることができて結構満足している。でももう二度と観ないと思う。

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2008.07.29

狙われた街

不可思議な事件が続いた。各地で突然精神に異常をきたした人たちが、通り魔殺人を引き起こす。犯人たちは一見何のつながりもないように思えたのだが、、、
これは現代の日本の話ではない。
1967年11月19日に放送されたウルトラセブン第8話「狙われた街」の筋書きである。金城哲夫が脚本を書き、名匠実相寺昭雄が演出した傑作だ。
ウルトラ警備隊が調査に乗り出すと、犯人たちは共通して、ある駅前の自動販売機でタバコを購入していた。ウルトラ警備隊は張り込みの末、その自動販売機にタバコを補充に来た怪しい男を尾行する。たどり着いたのは、(たぶん江東区あたりだろうか)運河に面した下町の木造アパート。ちょうど夕暮れ時で、空が赤く染まり、路地からはラジオのナイター中継が聞こえてくる。
満を持してモロボシ・ダンがアパートに踏み込むと、畳敷きの部屋にあぐらをかいたメトロン星人がいた。紳士的な態度でダンを招き入れ、彼らの企てを明かす。
 「我々は人類が互いにルールを守り、信頼しあって生きていることに目を付けたのだ。地球を壊滅させるのに、暴力を振るう必要はない。人間同士の信頼感を無くすればいい。人間たちは互いに敵視し、傷つけあい、やがて自滅していく。」

Nerawaretamachi

最近日本から届くニュースを耳にするたびに、彼らの計画は着々と進行しているのだなと思う。

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2008.05.06

ウディ・アレンの珍作"What's Up, Tiger Lily?"をパリで発見

Lilylatigresse_2先日パリのシャンゼリゼにあるバージンメガストアで、非常に珍しいDVDを見つけて購入した。パッケージのタイトルはフランス版で"Lily la tigresse"となっていたが、オリジナル・タイトルは"What's Up, Tiger Lily?"である。

1960年代に東宝は、007シリーズをパクったスパイ・アクション映画「国際秘密警察シリーズ」を全5作製作した。主演は三橋達也。いわゆるB級映画だ。
どういう訳かウディ・アレンがこの奇妙なアジア映画に目をつけ、音声を差し替え、英語の台詞でコメディー映画にしてしまっているのだ。これが彼の初監督作となってしまった。編集素材となったのは、国際秘密警察シリーズの3作目「火薬の樽」と、4作目「鍵の鍵」。

冒頭「火薬の樽」のアクション・シーンが唐突に始まり、星由里子が電動ノコギリで殺されそうになり、それを三橋達也と佐藤允が間一髪で救出する。
するとウディ・アレンが登場し、インタビュアーにこの映画の趣旨を説明し、さぁ観てみましょうということで本編が始まる。
その続きも「火薬の樽」からのシーンで、なぜか水野久美が三橋達也を誘惑し、ホテルでシャワーを浴びている間に、暴漢が三橋を襲い乱闘となる。
その後は「鍵の鍵」がほぼオリジナルそのままに、ストーリーが展開される。但し台詞はオリジナルと無関係なギャグ。途中再びインタビュアーが登場し「難解な映画ですね」などとウディ・アレンにボヤいたりする。

さて、この映画の面白さは、オースティン・パワーズまで続く、スパイ・コメディーの嚆矢となっていることだ。1964年の「火薬の樽」と1965年の「鍵の鍵」を、早くも1966年には"What's Up, Tiger Lily?"にしてしまっており、スパイ・コメディーの傑作「カジノ・ロワイヤル」は1967年であるから、本作の方がこのジャンルの元祖と言えるかもしれない。
また「鍵の鍵」に共演している若林映子浜美枝のコンビは、そのまま1967年にスパイ映画の本家「007は二度死ぬ」にボンド・ガールとして抜擢されている。彼女たちは既に1962年の「キングコング対ゴジラ」で競演を果たしており、007のキャスティングはこの怪獣映画を見たスタッフの推薦によるものだったとの説もあるが、個人的な推理としては、オリジナルの「鍵の鍵」か、もしくは本作"What's Up, Tiger Lily?"による影響が強いのではないだろうかと考える。その方が年代的な乖離がなく自然だ。
更にこの"What's Up, Tiger Lily?"と言うタイトルも前年1965年にウディ・アレンが出演したコメディー"What's New, Pussycat?"のパクリだと思われる。
最後に珍作と呼べる決定的理由として、日本では著作権の問題があるらしく、DVDが売られていないということだ。

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2008.03.10

herbes flottantes - un film de Yasujiro Ozu

Ukikusa
小津安二郎の「浮草」である。昭和34年に大映でリメイクした方である。
hayakarさんが褒めていたので、観たいなぁと思っていたら、普通の家電量販店で、普通にDVDが売られていた。欧州の懐の深さに感激するとともに、その文化的水準に欧州恐るべしと痛感した。
旅回りの一座が海辺の町にやってくる。真夏の風景は陽光に溢れ、まるでイタリア映画のようだ。そのままシチリアを舞台にリメイクしても良いほど、人間模様が生き生きと描かれている。若尾文子の可愛さもさることながら、脂ののった京マチ子も見逃せない。主演の中村鴈治郎の歩き回る姿は、後年東宝で撮られた「小早川家の秋」同様、何とも言えない愛嬌があって好きだ。

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