« 丸谷才一の「横しぐれ」と「樹影譚」 | Main | Glazz "The Jamming Sessions Take 1" »

2012.10.16

須賀敦子著「コルシア書店の仲間たち」

軽いエッセイだろうと読み始めて、その誤りに気付いたのは、ページを半分近く捲り終えた頃だった。
エッセイにしては内容が濃過ぎて、読み進めるのが少し苦になった頃、これは短編小説だと判った。そう思ってしまえば不思議と気楽に読めるようになり、著者と書店をめぐる入り組んだ人間ドラマも、色鮮やかなタペストリーのように見渡せるようになった。
舞台は1960年代のミラノ。その地にはまだ日本人が珍しく、人々は戦争の傷痕を胸の奥に残していた。古き良き上流階級の残照と、共同体を夢見たインテリたちの理想が混在した時代。500ccの小さなフィアットが、石畳の路地を抜け出し、紺碧の地中海を見下ろす丘を駆け昇った時代でもあった。

|

« 丸谷才一の「横しぐれ」と「樹影譚」 | Main | Glazz "The Jamming Sessions Take 1" »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/7525/55906446

Listed below are links to weblogs that reference 須賀敦子著「コルシア書店の仲間たち」:

« 丸谷才一の「横しぐれ」と「樹影譚」 | Main | Glazz "The Jamming Sessions Take 1" »