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2012.09.04

佐野眞一著「巨怪伝」

Kyokaiden
正力松太郎の評伝である。大作で読了に1ヶ月を要した。
読売新聞、日本テレビ、巨人軍、プロレス、原子力発電などなど、正力が係ったものには支配欲とカネが渦巻いていた。警察官僚時代の治安維持で会得した大衆心理操作術を駆使し、戦後の大衆社会を作った男と呼んでも過言ではない。正力に比べれば、ナベツネすら小市民に思える。
正力の先見性と企画力、実行力には舌を巻くし、不屈の精神には敬服する。また蓄財や豪奢な暮らしには無関心な点には好感が持てる。しかし余りにも傲慢で独善的であったため、本人が夢見た政界の頂上に立つような人徳はなかった。
本著にはいくつものサブ・ストーリーが織り込まれており、正力の陰で消えていった男達の哀歌が切なく胸に残る。沢村栄治の末路だけでも一つの物語として読む価値がある。

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