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2012.03.18

永井荷風著「濹東綺譚」

濹東綺譚は、中年を過ぎ初老へ向かう男にとってファンタジーだ。
主人公は麻布に住む小説家。女中を雇い、金に不自由はない。気の向くままに、小説のアイデアを練りながら、昭和初頭の東京を徘徊する。これは荷風そのもの。
夕立ちの玉の井で、傘に飛び込んで来た娼婦お雪と知り合う。
「年は二十四五にはなっているだろう。なかなかいい容貌である。」
お雪は男の正体を知らずに、通ってくる男と親しい関係を持つ。何の遠慮もなく、お互いを縛り合うこともなく、気楽でありながら、どこかで頼りにしているような関係だ。
季節はめぐり、お雪の容色と才智に惹かれながらも、男はお雪と距離を置き、やがて逢わないと決める。
全く世の男性読者にとって都合の良い小説ではあるが、男と女の仲は理屈では解けないものであるからこそ、この小説も名品として呼ばれているのだろう。

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