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2011.11.19

堀田善衛著「グラナダにて」

堀田善衛は憧れの作家だ。
世界を旅し、海外にも暮らし、インテリで、スッキリとしていて、それでいて毅然とした小説や散文を残している。
この「グラナダにて」は、集英社文庫の「バルセローナにて」に収録されているエッセーの一つであるのだが、その冒頭こそ著者がグラナダに暮らし始めた諸々が記されてはいるものの、大半が15世紀の女王フアナを主人公とした中編小説の体をなしている。
フアナはアラゴン王フェルナンド2世を父に、カスティーリャ女王イサベル1世を母に持つ。この両親の結婚譚については以前、佐藤賢一の爽快な短編小説「エッセ・エス」で紹介した。
ところがフアナの生涯は波瀾万丈で、イスラム王朝をイベリア半島から追い出し、統一されたスペイン王国のお姫様としての明るく晴れやかなものではなかった。フアナは精神を病み、「フアナ・ラ・ロカ」と呼ばれた。ラ・ロカとは狂女という意味である。
フアナは現在のオランダを統治していたブルゴーニュ公フィリップと結婚し、後のスペイン国王と神聖ローマ皇帝を兼ねたカルロス1世(カール5世)を生んだ。つまりフアナは狂女と呼ばれながらも、歴史上非常に重要な役割を果たしているのだ。
堀田善衛はフアナを取り巻く歴史大絵巻を、見事な中編小説のように、非常に分かり易くエッセイの中に書き込んだ。
佐藤賢一の短編小説「エッセ・エス」と、堀田善衛のこのエッセイ「グラナダにて」を続けて読めば、スペインの歴史の重要な時代を手軽に理解できる。

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