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2010.01.12

原宏一著「東京箱庭鉄道」

Hakoniwa資金400億円で東京に鉄道建設を依頼された主人公は、鉄道のプロでもマニアでもない。調べてみると東京郊外に鉄道を敷く場合、1キロ当たり80億から100億かかるらしい。都営大江戸線に至っては、1キロ当たり300億円もかかっている。400億円ではまともな鉄道や地下鉄は無理。そこで考えたのは、ゆりかもめのようなタイヤで走る新交通システム
路線案は、新宿路線と世田谷路線。新宿路線案は、JR新宿駅を中心に、東口の伊勢丹あたりから西口の都庁周辺までを周回する1周4キロのミニ路線。世田谷路線案は、東急田園都市線二子玉川駅から、小田急線成城学園前駅までを結ぶ4キロの路線。
熟慮の末、謎の依頼主には新宿路線案をプレゼンするが、イメージする鉄道ではないと却下。
再度実用性よりアトラクション性を重視して捻り出した案が、サンフランシスコのようなケーブルカーで、JR原宿駅から表参道、青山、六本木、溜池を経由してJR新橋駅に至る港区横断ケーブル鉄道。
奇想天外な小説でありながら、それなりのリアリティーもあり、読者にプロジェクトに参加するような楽しみを与えてくれる。読み進むと、これは「ミカドの肖像」からヒントを得たなと気づき出し、案の定巻末の参考資料に掲げられていた。作中に登場するBGMが驚くほど自分好みなジャズ・ロックなのが二重に嬉しい。どうもこの著者である原宏一は元ミュージシャンでもあるそうだ。
結末は少し拍子抜けだが、現実はこういうことが多々ある。それが切なさを醸し出している。

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