童門冬二著「勝海舟の人生訓」PHP文庫
20年前に買って読んで、それ以来ときどき書架から引っ張り出して再読している。
仕事でウダウダ悩んだり、迷ったりしているときに読むと、頭がサッパリとする。
童門冬二の本はいずれも読み易くて好きだ。史実に忠実とは言えない部分もあり、認識にも偏りがあるのかもしれないが、それを理解した上で読めば、エピソードの奥にある本質を掴み取る事が出来る。
特にこの本の材料となっている、勝海舟の生き方には共感するところが多い。ついつい自分に重ね合わせてしまう。人との交流のスタイルや、窮地に追い込まれた時の行動など、大いに参考になる。
勿論海舟は聖人君子ではない。むしろ狡賢いマキャベリストだろう。長生きはしたが、多くの敵に囲まれて、幸せな人生だったとは言えないかもしれない。それでも龍馬や西郷を魅了し、海舟の示した道筋通り、日本は最小限のダメージで、史上最大の危機を脱し、大変革を遂げたのだ。もし海舟がいなければ、幕府と薩長は泥沼の内戦に突き進み、欧米の介入を受け、日本は植民地化されていたかもしれない。
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