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2009.01.22

山口瞳著「江分利満氏の優雅な生活」

Everyman読み出しは軽いテンポだった。四コマ漫画のような平和な日常生活の断片で始まる。主人公の江分利満(エブリ・マン)は、平凡なるちょいダメおやじ。妻子と社宅に住み、遅刻魔で酒乱。頭は悪くないが不器用で運が悪い。愛すべきキャラである。
ところが読む進むうちに彼の背負っているものが見えてくる。家族の問題や苦い過去など、哀しみと切なさをひっそりと抱えている。
読後、Wikipediaで著者の略歴を読むと、江分利満はまさに山口瞳なのだ。
「格好付けるのが、一番格好悪い」という名言があるように、江分利満の格好悪さは、格好いい。
著者はこう書いている。

才能のある人間が生きるのはなんでもないことなんだよ。宮本武蔵なんて、ちっとも偉くないよ、アイツは強かったんだから。ほんとに「えらい」のは一所懸命生きているヤツだよ、江分利みたいなヤツだよ。匹夫・匹婦・豚児だよ。

巻末で山本周五郎が絶賛している。解説と言うよりまるでファンレターだ。山本周五郎も格好いいよね。あれだけの大作家なのに、「読むのも書くのも道楽」と自称している。
居酒屋兆治」も読みたくなってきた。

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Tracked on 2009.02.01 at 04:21 PM

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