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2008.05.06

ウディ・アレンの珍作"What's Up, Tiger Lily?"をパリで発見

Lilylatigresse_2先日パリのシャンゼリゼにあるバージンメガストアで、非常に珍しいDVDを見つけて購入した。パッケージのタイトルはフランス版で"Lily la tigresse"となっていたが、オリジナル・タイトルは"What's Up, Tiger Lily?"である。

1960年代に東宝は、007シリーズをパクったスパイ・アクション映画「国際秘密警察シリーズ」を全5作製作した。主演は三橋達也。いわゆるB級映画だ。
どういう訳かウディ・アレンがこの奇妙なアジア映画に目をつけ、音声を差し替え、英語の台詞でコメディー映画にしてしまっているのだ。これが彼の初監督作となってしまった。編集素材となったのは、国際秘密警察シリーズの3作目「火薬の樽」と、4作目「鍵の鍵」。

冒頭「火薬の樽」のアクション・シーンが唐突に始まり、星由里子が電動ノコギリで殺されそうになり、それを三橋達也と佐藤允が間一髪で救出する。
するとウディ・アレンが登場し、インタビュアーにこの映画の趣旨を説明し、さぁ観てみましょうということで本編が始まる。
その続きも「火薬の樽」からのシーンで、なぜか水野久美が三橋達也を誘惑し、ホテルでシャワーを浴びている間に、暴漢が三橋を襲い乱闘となる。
その後は「鍵の鍵」がほぼオリジナルそのままに、ストーリーが展開される。但し台詞はオリジナルと無関係なギャグ。途中再びインタビュアーが登場し「難解な映画ですね」などとウディ・アレンにボヤいたりする。

さて、この映画の面白さは、オースティン・パワーズまで続く、スパイ・コメディーの嚆矢となっていることだ。1964年の「火薬の樽」と1965年の「鍵の鍵」を、早くも1966年には"What's Up, Tiger Lily?"にしてしまっており、スパイ・コメディーの傑作「カジノ・ロワイヤル」は1967年であるから、本作の方がこのジャンルの元祖と言えるかもしれない。
また「鍵の鍵」に共演している若林映子浜美枝のコンビは、そのまま1967年にスパイ映画の本家「007は二度死ぬ」にボンド・ガールとして抜擢されている。彼女たちは既に1962年の「キングコング対ゴジラ」で競演を果たしており、007のキャスティングはこの怪獣映画を見たスタッフの推薦によるものだったとの説もあるが、個人的な推理としては、オリジナルの「鍵の鍵」か、もしくは本作"What's Up, Tiger Lily?"による影響が強いのではないだろうかと考える。その方が年代的な乖離がなく自然だ。
更にこの"What's Up, Tiger Lily?"と言うタイトルも前年1965年にウディ・アレンが出演したコメディー"What's New, Pussycat?"のパクリだと思われる。
最後に珍作と呼べる決定的理由として、日本では著作権の問題があるらしく、DVDが売られていないということだ。

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