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2008.05.31

チョン・ミョンフンの「運命」

Myungwhun昨晩、チョン・ミョンフンシュターツカペレ・ドレスデンを率いてブリュッセルにやって来たので、聴きに行った。
メシアンやモーツァルトも演ったが、圧巻はベートーヴェンの交響曲第5番「運命」であった。
第1、第2楽章は比較的オーソドックスな硬質感が印象的だったが、第3楽章では非常に立体的に構築し、第4楽章ではアクセル全開で疾走した。
全体的にスポーティーで、カラヤンやカルロス・クライバーのようなテンポであったが、充分に力強く、適度な重量感が良かった。
前から3列目のど真ん中の席だったので、チョン・ミョンフンの華麗な指揮ぶりも堪能できた。
鳴り止まない歓声と総立ちの聴衆に、チョン・ミョンフンは笑顔で応えた。

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2008.05.25

ガブちゃん6位入賞

Gabrielle
エリザベート王妃国際音楽コンクールが昨夜閉幕しました。
コンクール前から注目して応援していたGabrielle Philiponetは、ファイナルまで勝ち残り、最終的に6位に入賞しました。
ファイナルの12人全員の歌唱をテレビ中継で観ましたが、上位入賞者は優等生揃いで魅力はありませんでした。個人的にはやっぱり彼女の迫力ある歌唱に一番惹かれました。
6位までの入賞に漏れたElizabeth BaileyLayla ClaireMichèle LosierJung Nan Yoonも良かったのに。
自分の好みと審査結果が正反対だったのには少しショックです。

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2008.05.16

織田作之助著「昨日・今日・明日」

織田作之助の短編小説「昨日・今日・明日」を青空文庫で読んだ。オダサクといえば「夫婦善哉」だが、そればかりではない。短編も非常に良いのだ。
「昨日・今日・明日」は二人組みの復員兵の話である。軍隊で虐められ、上官に反抗しようと思った矢先に敗戦を迎え、焼け野原の大阪に立ち返る。
大学出の白崎は復員列車で出逢った女への再会を夢見、落語家だった赤井は行方不明の妻子を探す。
赤井が途方に暮れ、地下鉄構内で毛布に包まると、戦災孤児の少女が声をかける。
「おっちゃん、うちも中イ入れて」
「よっしゃ、はいりイ。寒いのンか。さア、はいりイ」
「おおけに、ああ、温いわ。――おっちゃん、うちおなかペコペコや」
「おっさんもペコペコや。パン食べよか」
「おっちゃん、パン持ったはるのン?」
「うん。持ってるぜ」
「ああ、ほんまに。うちに一口だけ噛らせて」
「一口だけ言わんと、ぎょうさん食べ!」
―― このテンポのよい会話がオダサクの真骨頂だ。
赤井は絶望することなく、少女を連れ駅前で靴磨きを始める。
そんなある日、赤井と白崎はラジオから流れる歌声を耳にする。復員列車で出逢った女の声である。二人は放送局に駆けつける。
それからのクライマックスの数ページは、感動の涙である。

誰かこの傑作を映画化してください。短編映画でいいです。1時間ドラマでも構いません。
赤井役は小林薫ナニワ金融道の雰囲気で)、白崎役はオダギリジョーパッチギ!の雰囲気で)、復員列車の女役には常盤貴子(関西弁で)を希望します。
どうです? 井筒さん。撮ってみませんか?

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2008.05.11

Queen Elisabeth Competition開幕

5月のブリュッセル名物とも言える、エリザベート王妃国際音楽コンクールが始まりました。今年は声楽です。
参加者名簿を見ると、日本人も3人参加してますね。以前に書いたGabrielle Philiponetも出てます。
この中からファースト・ラウンドでまず24人に絞られます。そして来週からのセミ・ファイナルで半分の12人に絞られ、21日からのファイナルはテレビ中継もされます。どんな新星が現れるのか、楽しみですね。
この模様はファースト・ラウンドからポッドキャストで聴けます。iTunesユーザーはこちらから

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2008.05.06

ウディ・アレンの珍作"What's Up, Tiger Lily?"をパリで発見

Lilylatigresse_2先日パリのシャンゼリゼにあるバージンメガストアで、非常に珍しいDVDを見つけて購入した。パッケージのタイトルはフランス版で"Lily la tigresse"となっていたが、オリジナル・タイトルは"What's Up, Tiger Lily?"である。

1960年代に東宝は、007シリーズをパクったスパイ・アクション映画「国際秘密警察シリーズ」を全5作製作した。主演は三橋達也。いわゆるB級映画だ。
どういう訳かウディ・アレンがこの奇妙なアジア映画に目をつけ、音声を差し替え、英語の台詞でコメディー映画にしてしまっているのだ。これが彼の初監督作となってしまった。編集素材となったのは、国際秘密警察シリーズの3作目「火薬の樽」と、4作目「鍵の鍵」。

冒頭「火薬の樽」のアクション・シーンが唐突に始まり、星由里子が電動ノコギリで殺されそうになり、それを三橋達也と佐藤允が間一髪で救出する。
するとウディ・アレンが登場し、インタビュアーにこの映画の趣旨を説明し、さぁ観てみましょうということで本編が始まる。
その続きも「火薬の樽」からのシーンで、なぜか水野久美が三橋達也を誘惑し、ホテルでシャワーを浴びている間に、暴漢が三橋を襲い乱闘となる。
その後は「鍵の鍵」がほぼオリジナルそのままに、ストーリーが展開される。但し台詞はオリジナルと無関係なギャグ。途中再びインタビュアーが登場し「難解な映画ですね」などとウディ・アレンにボヤいたりする。

さて、この映画の面白さは、オースティン・パワーズまで続く、スパイ・コメディーの嚆矢となっていることだ。1964年の「火薬の樽」と1965年の「鍵の鍵」を、早くも1966年には"What's Up, Tiger Lily?"にしてしまっており、スパイ・コメディーの傑作「カジノ・ロワイヤル」は1967年であるから、本作の方がこのジャンルの元祖と言えるかもしれない。
また「鍵の鍵」に共演している若林映子浜美枝のコンビは、そのまま1967年にスパイ映画の本家「007は二度死ぬ」にボンド・ガールとして抜擢されている。彼女たちは既に1962年の「キングコング対ゴジラ」で競演を果たしており、007のキャスティングはこの怪獣映画を見たスタッフの推薦によるものだったとの説もあるが、個人的な推理としては、オリジナルの「鍵の鍵」か、もしくは本作"What's Up, Tiger Lily?"による影響が強いのではないだろうかと考える。その方が年代的な乖離がなく自然だ。
更にこの"What's Up, Tiger Lily?"と言うタイトルも前年1965年にウディ・アレンが出演したコメディー"What's New, Pussycat?"のパクリだと思われる。
最後に珍作と呼べる決定的理由として、日本では著作権の問題があるらしく、DVDが売られていないということだ。

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