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2008.03.20

半七捕物帳全話読了

岡本綺堂の「半七捕物帳」を全て読み終えた。短編68作に、番外の長編1作を加えた計69作である。
明治時代の若い新聞記者が、岡っ引きだった半七老人と親しくなり、昔話を聞くという設定になっている。老人が語る舞台は黒船以降の江戸市中。幕末の英雄たちは登場せず、あくまでも登場人物は庶民やせいぜい下級武士。21世紀の今読んでも、古さを感じさせない洗練された推理小説なのである。その中で江戸の風情が見事に描かれ、目を瞑れば総天然色のその情景が目に浮かぶ。
短編はどれも20分もあれば読めるもので、実にテンポが良い。起承転結も分かりやすく、結末が心憎い。クライマックスになると、半七老人は話を止め、「もうお分かりでしょう」と、新聞記者に種明かしをする。これがまるで映画のラストシーンのように、何ともいえない薫り高い余韻を残しているのだ。
どの作品から読んでも楽しめるが、できれば半七登場の「お文の魂」から順番に少しずつでも読むことを薦める。きっと気がつくと全話読み通すことになるだろう。
今回のこの読書は、全話青空文庫に無料公開されているものを、azurという縦書き表示のブラウザで読んだ。紙の本ではないのだと知ったら、半七老人はどんな顔をするだろう。

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