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2007.11.05

岩田靖夫著「ヨーロッパ思想入門」岩波ジュニア新書

中高生向けの新書本なのだが、全く侮れない名著である。非常に明解な論理展開で、読んでいて気分が晴れやかにさえなる。
ヨーロッパ思想は、「ギリシアの思想」と「ヘブライの信仰」という二つの礎石の上に立っているとしている。「ギリシアの思想」とは、ギリシア神話に始まり、ギリシア悲劇や、ソクラテス、プラトン、アリストテレスへと続く哲学である。一方「ヘブライの信仰」とは、ユダヤ教として生まれ、世界に広がったキリスト教のことである。

読み終えて、こんなことを考えた。
21世紀の現代において、人類はいまだに民族、宗教、文化、慣習、言語の相違に苦しんでいる。前世紀の共産主義国家自壊により、単一的な全体主義では秩序を保てないことをようやく悟った。残された道は、それぞれの違いを認め尊重し合う多元性しかない。ところがこの多元性には「寛容」が不可欠なのだ。更に言えば、イエスが説いた「愛」が必要なのかもしれない。
「愛とは自分の好きな人に親切にすることではない」、「かかわりあいになったら厄介を背負いこむかもしれないと思われるような人に、近づいていって一緒に苦しみを背負うこと、それが愛である」と著者はこの本で解説している。
テレビをつけると、トルコでのクルド紛争を報じるニュースに続いて、ドイツ・ケルン市当局がイスラム教徒の寺院建設に難色を示していると報じられていた。ドイツには50万人以上のクルド人が住んでいると言われる。トルコは戦略的に重要なNATO加盟国であるのに、EUへの加盟は難航している。
欧州にとってイエスの教えが、2千年後の今も尚トルコ(異教徒)との関係に有効であるとすれば、それは悲劇なのだろうか、喜劇なのだろうか。

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