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2007.11.12

「綺堂むかし語り」と、電子書籍について少々

半七捕物帳」で有名な岡本綺堂によるエッセイ集である。
明治5年生まれの麹町育ちとあって、幼少時の東京の描写は、江戸の名残がたっぷりで興味深い。当たり前だが、明治維新、文明開化で、庶民の生活が一変したわけではなかった。人力車や馬車が走り回るようになっても、庶民の暮らしは江戸の頃と同じ。時間はゆったりと流れ、あくせく働かず、芝居を観たり、湯屋に通ったりしている。
「ゆず湯」という話は、エッセイというより短編小説といえるほどの完成度で、感嘆に値する。
明治の東京の風物エッセイ以外にも、日露戦争での従軍記者としての思い出話なども収録されている。雇った中国人苦力の実直さに接し、侮蔑していた自分を恥じる話など、戦場の血生臭い話はなく、異国の人情風物が水彩画のように書き綴られている。

このエッセイ集は全編かなりのボリュームが収録されており、毎日少しずつ読んでいる。と言っても紙の本ではなく、青空文庫に公開されているデータを、azurという読書用閲覧ソフトで縦書き表示にして、パソコンのモニタで読んでいる。縦書き表示にして大きめの好みのフォントで読むと、紙の本同様に全くストレスなく読める。
またazurは、見開いているページのイメージをjpegファイルに出力でき、液晶パネルのあるデバイスであれば、携帯電話でも、デジカメでも、PSPなどのゲーム機でも、読書することが出来る。しばらく前からPalm LifeDriveで読んだりもしているが、データ転送や操作性に多少の不満があり、最近はあまり活用していない。
今のところ読書デバイスとして決定版がないため、電子書籍が紙の本を駆逐する日は遠いように思える。

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