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2007.02.11

Anne-Sophie Mutter Benefizkonzert

昨日2月10日(土)、現役世界最高峰のバイオリニストAnne-Sophie Mutterの演奏会に行った。演奏曲目は、バッハを中心としたバロックの協奏曲を4曲。会場はいつものAlte Oper
チケットは130ユーロもしたのに、席はステージに向かって右後方の変な場所で、Anne-Sophieの左肩越しに客席を見渡すような席だった。これより高額な良い席は、流石に売り切れていた。
7時に開演。静まりかえったホールに、ヒールのこつこつと鳴る音が響いてAnne-Sophie登場。ダーク・シルバーのドレスは、肩から背中が大胆に開き、ウエストの締まりを強調している。それはまるで女帝の風格。ホールの割れるような拍手をよそに、会釈もそこそこに颯爽と演奏開始。
一曲目は無難にバッハのBWV 1041。二曲目は若手韓国人バイオリニストYe-Eun Choiを加え、同じくバッハのBWV 1043「2本のバイオリンのための協奏曲」。これもまたオーソドックスにまとめた感じ。
ここまでは勿論、高品質な世界レベルの演奏ではあったが、Anne-Sophieらしいスリリングな演奏はまだ出ていなかった。本来Anne-Sophieは、ロマン派の難曲などでその実力が発揮されるタイプなので、バロックでは安全運転なのかなと、少しあきらめていた。
約15分の休憩の後、3曲目もバッハのBWV 1042。この曲ではかなりエンジンが掛かりだして、要所要所でギラリとした凄みのある音を出し始めた。
そして4曲目がタルティーニの「悪魔のトリル」。原曲のソナタを、ザンドナーイが協奏曲に編曲し、カデンツァがクライスラーのもの。これは凄かった。特にこのカデンツァは、この日最大の見せ場で、Anne-Sophieの豪腕が唸った。もうバロックではなく、濃厚なロマン派になっていた。きっとパガニーニやサラサーテもこんな演奏をしたのだろうと考えながら聞き惚れた。このカデンツァを生で聞けただけでも、ヨーロッパに住んだ甲斐があるというものだ。
今回の演奏会で、流石に超一流の演奏家は凄いとあらためて痛感した。特に微弱音でも、ホールの隅々まで音が明瞭に届くのだ。また、アンコールを除く4曲が、尻上がりに出来が良くなっていくのにはすっかり感心してしまった。
途中3曲目でハプニングもあった。あまりの名演に観客達が楽章間でも拍手をするようになったのだ。それに対して別の観客達が「シー」と戒めるようになり、ホール内がちょっと変な雰囲気になった。するとAnne-Sophieが思いもよらず客席に語りかけたのだ。「拍手はご自由ですよ」と。客席からは暖かい拍手が湧き起こった。
そして最後にアンコールは、ビバルディの四季の冬の第2楽章ラルゴ。食後のカプチーノのような、ほのぼのとした味わいで、約2時間の演奏会を締めくくった。

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