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2006.09.24

佐々木俊尚著「グーグル Google 既存のビジネスを破壊する」

読み物として面白かった。
内容の半分以上は広告の話。キーワード広告という技術が、少数限定された広告需要者に如何に効果的であるかを、2つの事例で非常に分かり易く説明されている。
事例1の主人公は、大田区京浜島で羽田空港利用者相手に、駐車場を経営する山崎夫妻。月間30万円ものコストを要した雑誌広告でも成果がなく、旅行代理店がチケット発券時に同封するチラシを検討する。ところがこれは駐車場料金の3割程度をキックバックしなければならず、「旅行代理店のおこぼれをもらう」ようで納得がいかない。
そんなとき、キーワード広告を知る。グーグルが提供するキーワード広告サービス「アドワーズ」は、初期登録料が500円、あとはキーワードを登録して、利用者がクリックした回数に応じた料金を払うだけだ。クリック1回あたりの単価は、最低7円。但し登録キーワードはオークションになっており、当然人気の高いキーワード単価は高額になる。山崎夫妻は「羽田、駐車場」など二つの単語の組み合わせを数組登録した。落札したキーワード単価は書かれていないが、総額数万円程度の出費で済んでいるというから割安だ。
その結果、キーワード広告によって利用者は3倍に増えた。絶大な広告効果だ。
事例2の主人公は、福井市内の小さなメッキ工場の専務、清水栄次氏38歳。社長の父親に請われ家業を継ぐ。バブル崩壊で傾いた社業を、新規営業で建て直そうと、まずはパンフレット作成を考えるが、200万円と高額だったため、安価(38万円)なホームページ立ち上げに切り替える。ところが検索してもヒットしない。そこでキーワード広告と出逢い、まずはメデタシ、メデタシ。更に続きがあり、主人公清水氏の思いつきで、「個人メッキ市場」を開拓してしまう。それまで当然企業向けだけのメッキ加工業だったものに加え、個人でバイクやアクセサリーやモデルガンにメッキ加工したい人へのサービスを始める。これもキーワード広告がなければ出来なかった。
まさにこれら事例は、ニッチな市場に対するピンポイント広告の威力を見せつけ、ロングテールを実証している。
以上、キーワード広告は凄いぞ、万歳!中小企業なのだが、この本には、ほとんど、グーグルという会社自体は登場せず、その実態はどうもよく分からない。
本の終わりに近付くと、ようやくグーグルが野望を抱いた悪の帝国のように登場する。
グーグル利用者が、無意識に検索しているキーワードを始め、インターネット上に無尽蔵に存在する情報を包括して解析し、その個人の行動や嗜好を把握しようとしている。そしてそれに応じた広告を打つのだ。グーグル・アースで遊んでいると、その場所へのツアー広告が届くかもしれないし、北朝鮮ばかり覗いているとCIAからリクルーターが来るかもしれない。
これは怖いぞ。情報管理だ。監視社会だ。と、この本は結んでいるが、
思うに人間なんてものは、理不尽で、嘘つきで、気紛れで、へそ曲がりなので、目論み通りの情報管理や行動予測をするアルゴリズムなど永久に存在しないだろう。

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2006.09.11

"Sophia Loren Greatest Hits"

Sophiaしばらく前にDVD で、1958年のラブ・コメディー映画"HOUSEBOAT"を観ていたら、劇中にヒロインのソフィア・ローレンが唄っていた。
昔の映画では、ミュージカルでもないのに、突然役者達が楽しく歌い出すシーンがよくある。そのため女優ともなれば、演技や美貌に加え最低限の歌唱力も必要としたのだ。古くはマレーネ・デートリヒや、有名なところではマリリン・モンロー、カトリーヌ・ドヌーヴ、ブリジット・バルドーなどがその好例だ。ソフィア・ローレンのことは以前から好きで、何本も出演作を観ていたのだが、歌っていたとは知らず、全くの不覚だった。
そんなこともあって、先日偶然店頭でこのCDを見つけ、迷わず購入した次第だ。
さてこのCD1枚には30曲も収録されているのだが、ソフィア・ローレンの歌声が聞けるのは、半分の15曲だけ。他は彼女が出演した映画のサウンド・トラック名曲集になっている。この組み合わせが、実は非常に良い。
つまりソフィア・ローレンは取り立てて歌が上手い訳でもなく、耳にしたことのあるヒット曲なども持たない。但し女優として出演した映画とその音楽は非常に魅力的で素晴らしいのだ。
例えば、1963年のオムニバス映画"Ieri, Oggi, Domani(邦題「昨日今日明日」)"などでは、ソフィア・ローレンが3人のイタリー女(ナポリの子沢山の主婦、ミラノの有閑マダム、ローマの娼婦)を演じ、彼女の魅力が最大限に発揮されている。競演のマストロヤンニ演じる駄目男との組み合わせが、可笑しくどこか哀しい必見の映画だ。この映画で彼女は唄っていないのだ、サウンド・トラック4曲がこのCDにも収録されているのが嬉しい。
もちろん彼女の歌声も捨てたものではない。どちらかというとスローなバラードより、アップテンポでコミカルな曲の方が出来がよい。イタリー訛りの英語で唄っているところが可愛い。
またこのCDで、Armando Trovaioliという作曲家の名前を知った。ソフィア・ローレン出演作のいくつかに楽曲を提供しており、小振りながらも味のある映画音楽を書いている。

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2006.09.01

"The New Manager’s Handbook" by Morey Stettner

Managerhandbook副題"24 Lessons for Mastering Your New Role"
「新米管理職心得帖」とでもいうべきマネジメントの入門書。
24章構成になっており、1章がわずか4ページで、その内1ページは1コママンガ。平易な文書で読みやすい。
何よりも好感が持てたのは、全編を通して謙虚な姿勢とコミュニケーションの重要性を説いているところだ。マッチョな司令官的マネージャー像は登場しない。
内容自体は特に目新しいことはないのだが、英語で書かれていると、「ナルホドネ、旨いこと言うね」と感心してしまう。
普段職場でのスタッフとの会話は英語なのだが、日本語で考えていると、咄嗟の時に旨く英語で伝えられないことがある。そんなとき、英語の常套句をいくつか仕込んでおくと、何かと便利だ。更に普段から英語で考えをまとめる癖を付けると、そのまま会話や文書に使える。その元ネタの一つとして、この本がちょっと役に立っている。
読みながら、マーカーで線を引いたセンテンスを以下にいくつか列記する。

Great leaders gain authority by giving it away.
All you have to do is ask smart question and listen.
Do more listen than talking.
Most employee hunger for information on how they’re doing.
Employees don’t resist change. They resist being changed.
The most dynamic communicators don’t say much.
People are not mathematical equations, so managing then is a fuzzier and more free-form process than inputting hard data.

これなどは、こう言われると救われた気分になる。

Your job as manager isn’t to teach employees everything they need to know, but to let them learn on their own. Then you wind up with a more motivated and intelligent team.

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