« 畑仲哲雄著「スレイヴ」 | Main | 村上龍×伊藤穣一「『個』を見つめるダイアローグ」 »

2006.06.08

富田修二著「さまよえるグーテンベルク聖書」

クルマで40分の隣町マインツにある、グーテンベルク博物館に行った。部屋全体が防火金庫となっている展示室に、目当ての「聖書」があった。それも2冊も。実際に目にした聖書は、予想よりも巨大で、期待以上に色鮮やかに美しかった。
1455年頃に160〜180部印刷されたこの聖書は、製本前の状態でワイン樽に詰められ欧州各地に送られ、受け取った顧客は好みに合わせて自前で製本した。そして本の形で現存しているのは世界でわずか48冊。そのうちの2冊が、このグーテンベルク博物館が保有し、また1冊は日本の丸善が競売で落札し、今は慶応大学が保有している。
この博物館では、聖書以外にも印刷の歴史や製本、製紙の技術まで紹介され、アジアの印刷史の展示もされていた。非常に充実した展示品にすっかり感心し、ミュージアム・ショップで売られていたこの本を買って帰ってきた。
著者は丸善の社員として、この「聖書」の競売に携わった人で、ビジネスマンと言うよりも、学者並みの博識に驚かされた。
この本では、この聖書が印刷され、現在の所有者の手に至るまでの様々な経緯が紹介されている。戦火を逃れるために大陸を往復したものもあれば、戦利品として略奪されたもの、古い教会から発見されたものなど、実に様々なストーリーが書かれている。

|

« 畑仲哲雄著「スレイヴ」 | Main | 村上龍×伊藤穣一「『個』を見つめるダイアローグ」 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/7525/10437355

Listed below are links to weblogs that reference 富田修二著「さまよえるグーテンベルク聖書」:

« 畑仲哲雄著「スレイヴ」 | Main | 村上龍×伊藤穣一「『個』を見つめるダイアローグ」 »