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2006.05.17

畑仲哲雄著「スレイヴ」

この小説は、紙に刷った本としては容易には手に入らない(はずだ)。但しインターネット上では、びた一文払わずに容易に手に入る。これもまた、青空文庫で入手した、いわゆる電子本だからだ。
但しこの作品は、青空文庫に綺羅星の如く名を連ねる文豪達の作品とは異なり、作者の死後50年を経て、著作権保護期間が過ぎたものではない。著作権は依然作者に帰属し、作者は依然存命である(はずだ)。

ストーリーはサブタイトルにもある通り、「パソコン音痴のカメイ課長が電脳作家になる物語」である。
主人公カメイ課長が、架空の小型パソコン「スレイヴ」に「とくにジャンルはない」と小説(?)を書き始めるところから、この小説も始まる。それはまるで漱石の「猫」のようでもある。
カメイ課長の小説は一向に書き進まれないが、重さ300g、大きさ17.1x8.4x2.2cmのスレイヴには精通していく。OSが(MSぢゃない)DOSで、主要なソフトは全てフリーウエアであることなどを知る。そしてパソコン通信も始めるようになり、東京出張時にあるオフ会に参加するところから、話は急展開する。
と、まぁ、真面目に要約すると以上の通りスッキリだが、実際に読んでみると、混沌としたニッポンの社会情勢と、秋葉原的なサブカルチャーの海を泳いでいるような疲労感を憶える。ここドイツでの生活では味わえない刺激に満ちているとも言えよう。
ゲラゲラ笑いながらこの小説を読み終えた時、ふと我に返り、こうしてweblogを書いている自分もカメイ課長なのだなと気付く。
すっかりこの小説に感心したので、何らかの方法で作者が募っている印税代わりの寄付をしたいと考えている。

<作者ホームページ>
http://homepage3.nifty.com/hatanaka/
http://hatanaka.txt-nifty.com/ronda/

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Comments

こんにちは、畑仲哲雄です。
このたびは、まれに見る超絶ヘタクソ駄文学『スレイヴ』をお読みいただき、かつ、ブログで取り上げていただき、たいへん感謝しています。

せっかくですので、本家のホームページとウェブログのURLも紹介させてください。
http://homepage3.nifty.com/hatanaka/
http://hatanaka.txt-nifty.com/ronda/

あと、一点だけ。小説のタイトルは「スレイブ」ではなく「スレイヴ」で、ウに濁点です。細かいことで恐縮です。

Posted by: 畑仲哲雄 | 2006.05.25 at 03:21 PM

畑仲様
作者ご本人からコメントいただき恐縮です。「ブ」から「ヴ」に訂正しました。
次回作を熱望しておりますので、お近くにお越しの際は、ビールで前払いします。

Posted by: umex@白梅亭 | 2006.05.29 at 09:05 PM

umex@白梅亭さん

 タイトルを変えてくださってありがとうございます。

 えーっと、次回作は当分かけそうにないのですよ(涙)。スレイヴはネット世界ではちょっとした話題になったけど、文壇では黙殺されたし・・・・

 でも、いまは縁あって東大で社会人大学院生をしているので、その方面で社会に寄与したいと思っています。ヨロシクお願いします。

Posted by: 畑仲哲雄 | 2006.05.30 at 06:41 PM

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