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2006.02.13

ジャン・デ・カール著「狂王ルートヴィヒ」

バイエルンの王様の話。
もし彼が中世に生きていれば、幸福な生涯を過ごせたのかもしれない。
しかし時代は19世紀後半。世界は近代化へと動き始めていた。主要都市間に鉄道が施設され始め、社会主義運動は非合法とされ、欧州の列強がその軍事力で世界の覇権を争う時代だ。バイエルンの北にはプロイセンが、ドイツ統一に向けて確実に力を付け、そのチャンスを窺っていた。
主人公ルートヴィヒ2世を狂人として片付ける歴史書は少なくない。確かに彼は、非常に内向的で空想癖が強く、同性愛者で、ワーグナーと無意味な築城に国庫を浪費した。しかし彼は馬鹿ではなかった。むしろ聡明だった。事実プロイセンの鉄血宰相ビスマルクは、彼を世評に反し「政務については明哲な君主であった」としている。
その通り、ルートヴィヒが下した数少ない政治的判断は、プロイセンとの全面戦争を避け、ドイツ帝国統一後もバイエルン王国を残した。最小限の損失で、国家を敗北へと導いた。事実、バイエルン国民には終生人気があった。
最期は、反プロイセン色の強い政府に精神異常として幽閉され、その精神科医と湖に散歩に出たまま、なぞの死を遂げている。自殺か、事故死か、もしくは他殺かは今も不明だ。
副題「夢の王国の黄昏」は、ルートヴィヒの生涯を言い表している。彼が残したのは、ノイシュヴァンシュタイン城に代表されるメルヘンの王国と、神々の黄昏のように壮大で華麗なワーグナーの歌劇だ。

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