« September 2005 | Main | December 2005 »

2005.10.31

CREAM "Royal Albert Hall 05"

creamあまり期待せずに購入したDVDだったが、あまりの出来の良さに感動した。買ってきてすぐの初見時は、少し興奮してしまってブログに書けなかったほどである。この数週間で何度か見直して、やっと少し冷静に書ける状態になった(ちょっと大袈裟かな)。
とにかくここ10数年のクラプトンの活動の中では最高の出来だと思う。新譜のたびに酷評してきたことを今は恥じている。
そもそもクリーム再結成の話は、今年の春前に耳にしていた。但し、それはクラプトンが、ジャック・ブルースとジンジャー・ベーカーの2人を、経済的に救済するためのものだと世評だった。まぁ言ってみれば、年金代わりの活動だと揶揄されていたのだ。ところが蓋を開けてみると、とんでもない。
なぜ出来が良かったと言うと、ジャック・ブルースのボーカルと、ジンジャー・ベーカーのドラムに理由がある。2人とも非常にコンディションが良く、クラプトン以上に目立っていた。クラプトンもそれに煽られ、往年のスーパー・ギタリスト魂が蘇り、ギターソロでは普段よりはるかに熱いフレーズを炸裂していた。
普段のソロ活動では、優等生的なバックバンドを充分な人数揃え、かなり楽をしていたクラプトンだが、今回はドラムとベースしか音がなく、それもその2人はジャズ屋のインプロビゼーションで煽ってくる。
たしかに"Crossroads"のような速い曲では、往年のスリルには及ばなかったが、"Spoonful"や"Sleepy Time Time"、"Stormy Monday"、"Sitting On Top Of The World"などの遅いブルースでは、文句のつけどころがなかった。
特に"We’re Going Wrong"などは圧巻で、個人の演奏者の存在を超えた、バンドとしての精神世界に入り込んでいた。これはクラプトンのソロ活動ではあり得ないことだ。
演奏自体とは別に、クラプトンが普段温厚そうに見せている眼鏡をはずし、黒いシャツを着て、本気でストラトキャスターをかき鳴らしている姿を見ると、それだけで戦慄を感じる。これこそ本当のクラプトンの姿だ。まるで悪魔に魂を売ったかのように、ギターに取り憑かれている。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2005.10.07

The Rolling Stones "Bigger Bang"

BiggerBang先週のロンドン出張の際に、ピカデリー・サーカスのバージン・メガストアにて購入。地元フランクフルトでは、なぜかコピーコントロール盤(CCCD)しかなく、買い控えていた。
内容はというと、同時期にリリースされたクラプトンやポール・マッカートニーの新譜に比べ、さすがにしっかりとロックしている。この力強さは、チャーリー・ワッツのドラミングにあるように感じる。まさに機械には叩き出せない、微妙にズレがあるビートで、ぐいぐいと聴き手を引き込んでいく魔力がある。
しかし欲を言えば、味わいはあるのだが、水際だったスリルには欠ける。そもそもロック音楽は、社会への反抗をその動力源にしていた。ブルースが哀しみを歌うように、ロックは怒りを叫ぶものだった。金も名声も得てしまったストーンズ諸氏に、それを求めるのは酷かもしれない。
ロック・ミュージシャンに限らず、芸術家は全て、自らに内在する感情を表現するところに価値があると思う。哀しみや怒りだけでなく、喜びや楽しさでも構わない。その感情が受け手にシンクロナイズしたとき、芸術は成立する。
送り手に期待しつつ、せめて受け手として、常に貪欲な渇望を失わずにありたい。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

« September 2005 | Main | December 2005 »