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2005.09.26

ボブ・ウッドワード著「司令官たち」

副題「湾岸戦争突入にいたる決断のプロセス」
すでに歴史の1ページになってしまった湾岸戦争と、その前段となったパナマ侵攻におけるホワイトハウスとペンタゴンの舞台裏が書かれている。
本書の主役とも言えるのは、当時統合参謀本部議長であったコリン・パウエルと、同じく国防長官であったリチャード・チェイニーだ。この2人は約10年後、国務長官と副大統領として9.11を向かえることになるのだが、その後のアフガン侵攻とイラク戦争時のような確執はなく、湾岸戦争に協力して当たっている。
本書で興味深かったのは、武力行使発案ルートと指揮命令系統の仕組みだ。武力行使するに当たって、その計画全般を司るのが統合参謀本部である。但し統合参謀本部には指揮命令権がない。あくまで大統領、国防長官及び国家安全保障会議の3者に対する顧問の役割に過ぎない。指揮命令は大統領を頂点として、国防長官を経由し、軍司令部に発せられる。
つまりイラクがクエートに侵攻した際、大統領がその対応策の一つとして武力行使を検討する場合、法律上の軍事顧問として国防総省の立場にある統合参謀本部議長に諮問することになる。しかしこのときパウエルは武力行使に消極的だった。一方外交手段などで平和的な解決策を推し進めなければならない国務長官ジェームズ・べーカーの影は薄い。
そこで大統領の意志決定に大きく関与したと思われるのは、国家安全保障担当大統領補佐官であったブレント・スコウクロフトだ。彼は現役軍人(元空軍中将)ではない。大統領のアドバイザーに過ぎない。つまりホワイトハウスの中の側用人だ。また彼は大統領にとってゴルフや釣りの重要な遊び相手でもあった。
つまり湾岸戦争時、大統領には統合参謀本部議長と国家安全保障担当補佐官という2人の軍事顧問がいて、後者の意見を主に採り入れた節がある。
そうするとどうしても国家安全保障担当補佐官の役割が、軍事的意志決定に取って大きな比重を占めているように思えてならない。事実、ソビエト連邦との冷戦に、武力行使無しに勝利したレーガン政権時の国家安全保障担当補佐官は、軍人であったが穏健派であった。このスコウクロフトの前任者が、コリン・パウエルであった。またちなみに9.11後のイラク戦争時の同補佐官は、現国務長官であるコンドリーザ・ライスであった。

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2005.09.19

Eric Clapton ˝BACK HOME˝

backhomeクラプトンには、いつも申し訳ないと思っている。新作が出るたびに、ギタリストとしての毒牙を期待してしまうからだ。しかしその期待はいつも裏切られる。それでも諦められないほどの演奏家なのだ。
今回もギター演奏は限りなく控え目だ。しかしポピュラー音楽としては、充分に品質は高いと思う。但しそれはギタリストとしてではなく歌手としてだ。
例えば4曲目の˝Love Don’t Love Nobody˝では、7分13秒に渡りバラードを恥じらいもなく歌い上げている。
歌えるギタリストは、ある面不幸だ。ジョージ・ベンソンは、歌が上手すぎるために、ジャズ・ギタリストとして軽んじられている。また極端な仮説として、もし山下達郎の歌唱力が人並みだったら、ギタリストとして大成していただろう。
ではクラプトンは不幸かと言えば、そうとも言えない。8曲目の˝Piece Of My Heart˝などは、クラプトンならではの歌とギターの絡みで、独特の風合いを出しているし、9曲目の˝One Day˝では味のある歌唱と、(尺は短いが)きっちりとした模範的なギターソロを披露している。
しかしだ。やはりこのままでは満足できない。彼が活動を終えるまでに、1枚でいいから、エレクトリック・ギター演奏家として面目躍如とも呼べるようなアルバムを残して欲しい。
誰かクラプトンのギタリスト魂に火を付けるプロデューサーかボーカリストはいないだろうか。歌など歌っている場合ではないと、ギター演奏だけに集中した作品が聴きたい。それも生ぬるさを一切排した、悪魔のようなギター演奏を。

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