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2005.08.22

宮崎喬著「ヨーロッパ市民の誕生」岩波新書

フランクフルトに暮らして、特に気付くのは外国人の多さだ。トルコ人を筆頭に、東欧、ギリシャ、イタリア、中東などから来た多くの人々が暮らしている。
また女性の社会進出も当然の如く為されている。市長は女性であるし、タクシーや路面電車の運転手にも女性が多い。市内を巡回しているパトカーは、男女二人組であることが多い。その反対にスーパーマーケットのレジ係は男性も多い。更に普通の一般雑誌にも、音楽や映画、スポーツのページと並んで、同性愛者のページもある。
こういった人種や国籍、文化、言語の多様性、ジェンダー等への姿勢が、必然的とは言え、日本とは大きく違う。
本著は、そのような実情を丁寧にレポートしており、普段ぼんやりと感じていた考えを整理するのに適していた。
特にヨーロッパは、外国人居住者の課題に、実に真摯に対応していると思う。わずかに排他的な動きが出れば、それを毅然と否定する良心が働く社会風潮がある。それには今でもナチスへの反省があることと、多様性を旨く利用しようとするしたたかさもあると思う。
例えば、ここフランクフルトでは低賃金労働の多くを、トルコ人や東欧人が担っている。彼らの存在を否定しては、社会が成り立たないのだ。但しこれは差別ではない。高等教育や高度な職業訓練を受けていなければ、ゲルマンであろうと低賃金労働に就いている。単にトルコ人等のその比率が高いだけなのである。それでもフランクフルトにはスラム街もなく、治安も非常に良い。
支配、被支配という構造ではなく、社会の中の役割分担による違いを認め合い、お互いが安全に共存することを、ヨーロッパは世界に先駆けて実験しているように感じる。

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