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2005.07.25

中尊寺ゆつこと杉浦日向子を偲んで

中尊寺ゆつこに続いて、杉浦日向子が若くして逝った。
異国に暮らす身にとって、祖国からの訃報には心が痛むものだが、この二人の逝去の報には愕然とした。

テーマとアプローチが全く異なる漫画家ではあったが、両人とも才能に溢れ、独自の分野を切り開いた存在だった。
時代が彼女たちを求めていたのか、彼女たちが時代を築いたのかは、今は考えが及ばない。
ただ、医学が発達しても、病は無情にも若い才能を奪ってしまうという現実に悲しむばかりだ。
また日本のカルチャーシーンを思えば、大きな損失であることに間違いはないだろう。

両名の著書で座右のものを一冊ずつあげると、

杉浦日向子著「江戸アルキ帖」
中尊寺ゆつこ著「ていうか経済ってムズカシイじゃないですか」

合掌。

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2005.07.15

"iCon Steve Jobs" by Jeffrey S. Young, William L. Simon

iConamazon.deで買い寄せて、今読んでいる。
実はインターネットで本を買ったのは初体験である。
東京に暮らしていた頃は、新宿の紀伊国屋、神保町の三省堂、秋葉原の書泉、六本木のABCなどに通って、物色するのが大の楽しみだった。
ところがここドイツの書店では、日本語の書籍はもちろん、英語のものも乏しい。そこで今回amazon.deを利用してみた。流石に日本語の本は買えないが、英語の本は充実している。
発注して3営業日程度で自宅に宅配された。これは良い。

さて本書について、
今までスティーブ・ジョブスの半生記は、何冊も書かれており、そのいくつかを読んでいるが、この人の人生は実にドラマチックで、まだまだそれは終わりそうもなく、ついついその先の続きが読みたくなる。
本書は今年出た最新版なので、iPodが売れてニンマリしているところまで書かれている。しかしジョブスの人生は、このハッピーエンドで終わりそうにない。
MacのIntelチップの採用や、Mac以上にiPodが収益に貢献していること、一人勝ちの音楽ダウンロード業の今後など、アップルを取り巻く情勢は、この先どうなるのか目が離せない。
1984年Mac発売当時のライバルであったIBMパソコンは、今はその事業を中国メーカーに売り渡し、ジョブスのようなシリコンバレーの成金に憧れていたビル・ゲイツは、世界一の金持ちになってしまった。まるでファンタジーの世界の歴史絵巻を見ているようだ。
ただ本書では、著者がジョブス贔屓のようで、ジョブスのケチで傲慢な面があまり書かれていない。最近は悪い噂は聞かないが、昔は平気で仲間を罵倒する独裁者で、アップル社内でも人望がなく、皆に嫌われていたと聞く。
ともかくジョブスは、全く類を見ないタイプの経営者だ。むしろ政治家や宗教家に多いタイプだと思う。

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2005.07.05

ドイツとイタリアにおけるFM放送の選曲の違い

先日、仕事で当地フランクフルトから、イタリアのミラノまで、クルマで日帰り出張という馬鹿な強行軍をしてしまった。片道約7時間、往復で14時間。流石に疲れた。
フランクフルトからはアウトバーン5号線をひたすら南下し、スイスの国境の町バーゼルに入る。スイスを東南に横切り、イタリア国境のコモに入り、コモからは1時間程度でミラノに到着。
クルマではずっとFM放送を聴いていた。当然移動するに従い受信できる放送局も変わっていくのだが、大きく分けるとドイツ語の放送か、イタリア語の放送かになる。ドイツとイタリア国内では当然その国の言葉になるのだが、スイスは御存知の通りの多言語国家で、ドイツに近い北部スイスはドイツ語、イタリアに近い南部スイスはイタリア語を使っている。道路標識も変われば、FM放送も驚くほど雰囲気が変わる。
簡単に言えば、ドイツ語放送は暗くてダサイ。イタリア語放送は陽気で馬鹿げている。特に選曲の違いにその特徴が現れている。
ドイツ語放送では、80年代ポップスを中心に、最近のヒット曲を繰り返し流す。本当に同じ曲ばかり繰り返すのだ。他に音源を所有していないのか?と思うほどに繰り返し、繰り返し…。
それに対してイタリア語放送での選曲は多彩だ。ラテン系のリズミカルな曲が中心だが、所謂ヒット曲は耳にしない。つまり知らない曲ばかり。時々サンタナの曲だと思ったら、アレンジが違う誰かのカバーであったりする。
クルマで移動しながら、この音楽観の違いを考えていると、周りの風景もこの違いに同調して変化してくる。つまりドイツから北部スイスのドイツ語圏の地域は、緩やかな丘陵地帯が繰り返し続き、それを単調な道路が走っている。特にドイツ国内のアウトバーン5号線は、カーブもアップダウンも少ない直線道路。車窓はただただ針葉樹の森と麦畑。
それに対してイタリア語圏の南部スイスはまさしくアルプス山脈で、切り立った岩山が重ね屏風のように立ちはだかり、その奥に雪を残した頂が青空に向かって背伸びしている。谷間に流れる渓流もリズミカルで、それを縫って走る道路と線路も魅力的に曲がりくねる。時折通過する湖も、湖面に青空を映し、鮮やかなまでに青い。
国境を越えイタリアに入った途端に、木々は低くなり青空の面積が極端に広がる。その雰囲気は、メンデルスゾーンの書いた交響曲「イタリア」の通りだ。嫌でも気分が明るくなる。
ドイツ人はバケーションになると、南を目指し、イタリアに大挙流入する。それに対してイタリア人がアルプスを越えドイツに来ることはまずない。
これほど近い国なのに、これほど雰囲気が違うのは実に興味深い。それがFM放送の選曲に現れていると痛感した日帰り旅行だった。

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