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2005.06.27

浜野保樹著「模倣される日本」

副題「映画、アニメから料理、ファッションまで」の通り、日本発の文化が、海外でどのように受け止められているかを、多角的に紹介しており、非常に興味深く読んだ。
日本に住んでいた頃は、普段はあまり意識していなかったが、「キル・ビル」や「ラスト・サムライ」は、やはり気になって観ていた。但しそれらは実感がない架空の国ニッポンでしかなかった。
海外に暮らし始めてまず最初に感じたのは、自分が黄色人種あることだ。白人や黒人から見れば、日本人も韓国人も中国人も見分けが付かない。日本人の自分ですら、時折街で見かける東洋人の国籍を、正確に言い当てる自信がない。事実当地では日本料理店を経営する韓国人もいる。
また、国民性と言い捨てて、性格分類するのも当てにならないと痛感した。陽気なドイツ人もいるし、怠け者の日本人もいる。内気なイタリア人や、没個性なフランス人もいる。
これだけ人種としても国民性としても日本人のアイデンティティーは薄いが、こと文化に関しては独自性があると感じる。
特に古典文化や精神論だけでなく、現代の映画やアニメや料理は予想以上に海外に浸透している。
本著では、対象とする海外を特定していないため、その分野は多彩だが、アジアやアメリカに比べ日本人居住者が少ないここヨーロッパでも、日常生活の中に「日本」を時々見つけ、はっとすることがある。初めて近所のスーパーマーケットに行った時、にぎり寿司のパックを見て、正直驚いた。また自宅から歩いて数分のところにも回転寿司屋がある。いずれも日本人をターゲットにしていないせいか、あまり旨そうには見えず、未だに試してはいないが。
日本に暮らしていると、どうしても低級な政治や、犯罪の低年齢化残虐化、物欲消費中心の経済など、日本の悪い面ばかり目に付いたが、幸いなことにここドイツには、これらが正確に伝わっていない。その分、未だに日本は遥かに遠いミステリアスな島国なのだ。
先日サッカーのコンフェデレーション・カップの日本対ギリシャ戦を、近所のスタジアムで観戦した。日本が昨年の欧州チャンピオン国に勝ち、大いに喜んでいたら、仕事仲間のドイツ人は「ギリシャ程度に勝っても価値はない」と冷たい。ところがブラジルに2対2で引き分けたら、同じドイツ人が翌朝早速「日本は凄い」と賞賛してきた。
当たり前のことだが、評価というのは、他者がする方が価値があるようだ。日本を採点するのは日本人ではない。但しどう採点しているのかは、常に注意していた方が良さそうだ。
好き嫌いとは別に、世界の人たちが日本の存在を無視できなくなるには、まだまだ時間と工夫が必要に感じる。

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