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2004.12.19

Rachmaninov "The Piano Concertos" by Stephan Hough

hough-rachmaninov愛好家達の間で静かな話題となったピアノ協奏曲集をやっと入手して、ここ数日繰り返し聴いている。
確かに今まで世の中に多く出回っている演奏とは違う。単純にまず演奏が速い。
例えば第3番協奏曲の第1楽章の出だしなどは、他の多くのピアニスト達ならば、じっくりと切なく哀愁をこめて弾き始める。ここで如何に泥臭くロシアの濃厚さを表現するかが、この楽曲の大きな魅力ではあるはずなのだが、Stephan Hougeは全く違う。呆気ないほどに走りきってしまう。ところが実はこのHougeの演奏は、作曲者であるRachmaninov自身の残した録音に限りなく近いのだ。
はじめて聴いた3番は優等生Ashkenazyの模範的な演奏だった。その後Horowitzの圧倒的ダイナミックな演奏や、Bermanの濃厚で強烈な名演を楽しみながら、Arugerichの意味不明の演奏なども含め、数多くの3番がCDラックに貯まったころ、満を持してRachmaninovの自作自演盤を聴いた。ところが実にあっさりとして呆気なかった。今思えば、作曲家としては濃厚なロシア・ロマン派であったRachmaninovは、ピアニストとしては実に垢抜けたモダンな演奏家だったのだ。後世の我々が勝手に思い描いたロシア・ロマン派の演奏は、Rachmaninovと今回のStephan Hougeによって裏切られたようだ。
しかしこの裏切りの是非を語る資格は、自分にはない。演奏には決められたルールはなく、その演奏者と鑑賞者との相思相愛によって完成するものだろうから。

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Tracked on 2004.12.21 at 09:06 PM

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