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2004.07.23

矢作俊彦原作・落合尚之作画「鉄人」

tetsujin.jpgマンガ全4巻。帯で(矢作に強要されたか)大友克洋と押井守が推薦文を寄せ、安彦良和が絶賛しているが、結末はタイムスリップという禁じ手で不満。
ただ旧満州で謎の巨大ロボット大暴れというプロットは痛快。
鉄人28号と鉄腕アトムへのオマージュ? アキラのパロディーとも思えるシーンもいくつかあった。
矢作はマンガの原作者としては当代一だと思う。小説よりもイマジネーションが爆発している。但し本作では自爆気味。
欲を言えば絵がねぇ。

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2004.07.18

"The MILES DAVIS Story"

MilesStory.jpg2001年放送のイギリスのTVドキュメンタリーをDVDにしたもの。Milesの生涯を多くの映像と関係者へのインタビューでまとめられている。
Milesの作品を年代順に聴けば、それで20世紀後半のジャズ史が網羅できるように、このDVDはそれを更に1枚約2時間に凝縮し、初心者からジャズ好きにも楽しめるものになっている。自分自身もあらためて聞き直したいアルバムが次々と登場し、しばらくはまたMilesのCDに時間を費やしそうだ。
何よりもこのDVDの素晴らしさは多くのミュージシャンへのインタビューだ。主な証言者を列挙すると、
Jimmy Cobb、Herbie Hancock、Ron Carter、Dave Holland、Jack DeJohnette、Joe Zawinul、Keith Jarrett、Chick Corea、John McLaughlin、Bill Evans、John Scofield、Marcus Miller等々。
みんな笑顔でMilesとの出逢いや想い出を語っている。それはまるで長嶋茂雄の奇行を語る往年のプロ野球選手達のようにだ。
Milesがバンドのメンバーにこんなにも愛されていたとは実に意外だ。引き抜きや解雇を繰り返したMilesのことだから、さぞやメンバー達にも嫌われていたのだろうと思っていた。しかし流石にMilesに声をかけられた強者達だけあって、例えMilesが暴君のように君臨していたとしても、それにもまして最高の芸術に参加できたことが彼等にとって何よりの幸福だったのだろう。
考えてもみれば、最高の音楽を創り出すバンドが仲良しクラブである方が不自然だ。最高の芸術は限界ギリギリのところから生まれるものだ。その苦痛を共有してこそ本当の信頼関係が築かれるのだろう。
DVDの最後で、Milesの墓碑に追悼文を贈ったMcLaughlinの話に、胸が熱くなった。

John「Miles、君がいなくなって淋しいよ」
Miles「John、そんなことより、テープを回せ」

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2004.07.11

堀江貴文著「100億稼ぐ仕事術」

下品なタイトルだったが、今話題のライブドア社長の本なので読んでみた。
1972年10月生まれの著者が、如何にして球団を買おうと言うほどの財力を持ったのか知りたかったが、内容のほとんどはタイトル通り「仕事術」ばかりで、企業買収や新規事業立ち上げなど企業経営については触れていなかった。
1日にメールを5000通さばく話には苦笑したが、睡眠時間を充分取るとか、健康管理の重要性など、実に真っ当なことを書いている。それでもマイクロソフトオフィスを嫌って、「エクセルには魔力がある。表を作っていると仕事をしている気になってしまうものだ。」と言い放ち、メールソフトとブラウザだけのシンプル仕事術を勧めるなどは卓見同感だ。
念のため昨年9月の同社の有価証券報告書を確認したら、確かに連結決算で売上高は108億2,489万円だったが、同経常利益は13億1,437万円、同純利益は4億8,886万円と驚くほどのものではなかった。
ちなみに近畿日本鉄道は今年3月期の連結決算で、売上高1兆2,978億円、経常利益334億円、純利益165億円とライブドアの約100倍を稼いだ。

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菅野よう子 "攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX O.S.T. +"

yoko.jpgTVアニメのサウンドトラック。士郎正宗原作のマンガ(1&2&1.5)は入念に読んでいたが、このTVアニメは見たことがない。そもそもあの理屈っぽい原作を映像にするのには興味がない。士郎正宗の世界は原作のマンガで既に完成している。
つまりこのサントラは自分にとってアニメのためのものではなく、むしろ原作のマンガのためのBGMだと勝手に位置付けて聴いている。
何より菅野よう子の器用さに感心する。映画やゲーム、CMの音楽を多く手掛けてきただけあって、ジャンルや手法を飛び越えた表現方法を持っている。多彩だ。
与えられたオーダーに応じて音楽を創るというのは、非常に難しいことだと思う。小才ならば、それらしいものは出来るが、惹き付けることは出来ない。
菅野は充分にそのハードルを超えていると思う。12曲目の"silent cruise"や、16曲目の"モノクローム"を聴くと、日本のaphex twinにもなれるベクトル線上にいると感じる。

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2004.07.06

Terence Trent D'arby "TTD's VIBRATOR"

TTD.jpg音楽四方山話でファーストアルバムを取り上げていたのに呼応して、1995年の4枚目について少し書きたい。
とにかく歌が巧いと感心する。3曲目の"Holding On To You"や8曲目"If You Go Before Me"などでは、まさに歌いきっている。そこらの自称ソウルシンガー達よ、恥を知れ!だ。
歌唱力だけでなく、音楽全体のセンスも素晴らしい。ほとんどの楽器を操り、ファンクとロックを融合した粘りと切れ味のあるグルーブを創り出している。アルバム収録全13曲の曲調もバリエーションに富み、その好例として2曲目の"Supermodel Sandwich"を、11曲目でテンポとアレンジを変え"Supermodel Sandwich w/Cheese"としてリフレーンしている。サンドウィッチにチーズを加えたアレンジの遊び心には脱帽だ。

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2004.07.04

the honey drippers "volume one"

honey-drippers.jpg5曲収録のミニアルバム。"volume two"もなく、1枚限りのセッション。Robert Plant、Jimmy Page、Jeff Beck等が集って、オールディーズをカバーしている。
リリースされた当時の20年近く昔、アナログレコードからカセットテープにダビングして、擦り切れるほど聴いた。ティーンエイジャーだった自分にとっての夏の定番だった。
今でも"Sea of Love"や"Young Boy Blues"といったスローバラードを聴くと、胸がしめつけられる。気のせいかあの頃は、今よりも空は青かったし海も広かった。
あぁ今でこそ、"volume two"を待望して止まない。

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本宮ひろ志作画「夢幻の如く」

yume.gifマンガ。近くの古本屋で全12巻セットを2,810円で購入。
織田信長が生きていたらという設定の荒唐無稽な馬鹿話。それが実に気宇壮大で痛快なエンターテイメントになっている。
本能寺から始まり、最初は生き延び名を隠し、秀吉や家康の食客となり戦を楽しむ。後半はそれこそ無茶苦茶で、大陸に渡った信長一行がモンゴルの草原でイワン雷帝と対決したりするが、前半は信長の緻密な指示命令ぶりが描かれ妙に関心。
最後に信長軍は1600年に全ヨーロッパを制圧し、ラストシーンはアメリカ大陸の原野に臨み立つ老いた信長の姿で終わる。
本当の信長はこれほど勇猛果敢ではなく、もっと内省的な男だったと思う。陽性な社交性はなく、猜疑心の強い孤独な男だったろう。
これは全くのフィクションでマンガだ。そうとは承知の上でも、信長に魅力を感じるのはなぜだろう。

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