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2004.06.05

スティーブン・ジョンソン著・山形浩生訳「創発」

副題「蟻・脳・都市・ソフトウエアの自己組織化ネットワーク」
原題"Emergence - The Connected Lives of Ants, Brains, Cities, and Software"
はじめのうちは面白く読み進んだが、途中からダレてきた。
要するに、蟻の群れにしても人間の都市にしても、トップダウンではなくボトムアップで成り立っている。「低次のルールから高次の洗練へと向かう動きこそが、創発と呼ばれるものだ」と説いている。各個が全体を把握せずに行動しているのに、結果的に協調性が生じ、秩序が保たれている事例を挙げている。
考え方のひとつとしては面白いが、アリンコの理想郷の話を人間様の世の中には応用できそうにない。蟻のコロニーには、パレスチナ問題も、イラク問題もない。
もちろん著者は蟻を参考にすれば、世の中マルっと治まるとなどは書いていない。しかし読者に、リーダーや王様のいない粘菌に、民主的な秩序の幻覚を与えかねない書きっぷりだ。それに出版社もいくら本を売りたいからって、帯に「ローカルな相互作用から生まれるグローバルな秩序。」 と書くのはどうかと思う。
愉快なことに訳者の山形も、この分散型自律的創発が優れているという無邪気な考えを嫌っている。

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