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2004.04.18

猪木武徳著「自由と秩序」

副題「競争社会の二つの顔」
裏表紙に「著者から読者へ」として次の一文が記されている。
市場機構と民主制---この二つの装置をいかに使いこなしていくか。いま求められているのは、自由・平等・秩序を同時に保持することの難しさを認識し、その困難を克服しようとする意志と知的粘り強さである。
変えられるものをどう改善し、変えられないものをいかに受け入れるのか、そこを見極めるための議論のベースを提供したい。

2001年の発行以来、再読を重ねている座右の一冊だ。
日頃から漠然と抱いている疑問や問題意識を、本著では的確に代弁してくれている。
例えば、民主制至上主義とも言える世論の傾きに対して、「すべての国民は、公共の福祉を識別する最も賢明な判断力を持つ者、公共の福祉を追求する最も有徳の人物を支配者と選ばなければならない。」として、代表民主制本来の利点を説き、更に「多数決原理を神聖視したり絶対視することは危険であり、さまざまな問題を引き起こす。」として、学級会の頃からの迷いを払ってくれている。民主主義は現在の人類社会には適当であるとは思うが、最も優れたものだとは感じていなかった。本書でも民主制の弱点について「民主制の社会は、つねに平均的なものへの傾斜、利己心への無制約な発現、私的生活への限りない没頭、公的な事柄への無関心に支配されやすい。」と例証してくれている。
またリーダーについても、「ある人物が好きか嫌いかということと、その人物が能力が有るか無いかということは必ずしも一致しない。」、「有能なリーダーにはある程度の有害さはつきものだ」と言及し、そのマキャベリズム振りにも好感を抱いた。
更に最近のイラクでの邦人誘拐事件を発端に多くの国民が意識した「個人と国家」という発想についても、日本では「個人の利己主義の行き過ぎを、国家がどう制御するのか」という問題意識が強く、「公共精神をすでに含み持った個人」という前提が弱いと指摘している。
本書は今後も時々再読して、考えの整理に活用したいと思っている。

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