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2004.04.30

内田洋子、シルヴィオ・ピエールサンティ共著「イタリア人の働き方」

副題「国民全員が社長の国」
イタリア産業の特徴は、零細・中小企業、家族経営、少数精鋭主義、職人気質、手仕事重視、等々。
その中で印象的なのは、スケールメリットの追求がないことだ。イタリアでは日本企業のような規模の拡大が、成功とは位置付けられていない。彼等は事業が軌道に乗っても、拡大に関心を示さない。会社の大きさよりも独創性、差異性を誇りとしている。その象徴であり、好例がフェラーリ社だろう。
さて本書では様々な仕事で成功し、今もそれを楽しんでいるイタリア人達が紹介されている。美貌の靴磨きに始まり、自転車や生ハム作りの職人、果ては悪魔払いやパパラッツィまで、取材を元に構成されている。
全員に共通しているのは、(当然のことだが)自らの意志でその仕事をしていることだ。決して誰かに命じられたり、生活するために渋々働いている訳ではない。彼等にとっては働く喜びもまた、歌い、食べ、愛する喜びに並ぶ快楽なのだろう。
イタリアでは今、子供の生まれる数より、起業の数の方が多いらしい。自分のスタイルでの仕事を突き詰めれば、組織に属するのは適さないと割り切っているようだ。
未だに大企業が無節操に尊ばれ、それに属することが喜びのように捉えている日本国とは、様子が随分違う。まず日本人は、大きさが強さであるような考えは捨て、組織の美しいサイズを再考すべきだろう。その中で自分を中心とした小さな組織が好ましいと判断したら、そこで起業すればよいと思う。無節操な起業奨励も感心できない。

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2004.04.24

"Guitar Wars" DVD + bounus CD edition

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Paul Gilbert、Nuno Bettencourt、Steve Hackett、John Paul Jones等による、2003年8月の赤坂BLITZでのライブ。
とにかく凄く面白かった。DVD27曲+CD9曲で、もう満腹です。
いきなりPaul GilbertとNunoのバトルで、すっかり気分はMr.Big vs Extreme !!!
続く御大John Paulは変拍子でグルーブして、それにNunoはノリノリ。マンドリンやスチールギターを操り、Zepの"When The Levee Breakes"や"Nobody's Fault But Mine"を若いギタリスト達を従えご披露。
Nunoに至っては自由奔放、変幻自在、ファンクに縦ノリ&横揺れ。特にアコG1本で"Midnight Express"を弾ききった高速ピッキングは、Al Di Meolaをも凌駕したか。
更にSteve Hackett先生、クラシックGで登場し、大人の超絶技法を炸裂。ギターをフロイドローズ搭載の黒いギブソン・レスポール・カスタムに持ち替え、渋い濁声も聴かせて、壮大なプログレ・ワールドを展開。
最後はZepの"Communication Breakdown"と"Rock And Roll"を、ExtremeからVan Halenに移り今はフリーのGary Cheroneが熱唱。Robert Plant並みの高音でシャウトし、御大John Paulもご満悦。
このライブでの殊勲賞は、全てのセットでビートを叩き出したPat Mastelottoだ。
※尚、一晩で観るには相当の胆力を要しますので、ご注意ください。

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Think! 2004 SPR.[No.9]

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「実践的ビジネストレーニング誌」と題された季刊誌。興味のある特集号は購読。
で、今号は「独習法 ビジネスパーソンはこっそり学ぶ」。各分野の14+1人が「学ぶ」ことについて語っている。
面白かったものをいくつか列記すると、
脳医学者川島隆太によると、脳を鍛えるには音読や単純計算がよく、料理や編み物、楽器演奏、折り紙など手先を使って何かをつくることが、脳の活性化には効果的なのだそうだ。
NHK週刊こどもニュースのキャスター池上彰の「素人の視点で考える」、「図解化する」、「原典にあたる」ことによる事例としての、鳥インフルエンザのはなしは興味深かった。
発症地から半径30キロ以内の鶏と卵の移動が禁止なったが、なぜ50キロでもなく、10キロでもなく、30キロなのか。答えは、感染媒介となるハエの移動距離だから。また半径30キロの円を描くと、京都、大阪、福井、兵庫の2府2県にまたがり、広域行政の問題であったことが明らかになる。更に養鶏業者の責任や損害補償を考えるには、家畜伝染病予防法を読む必要がある等々、理路整然だ。
感想として、独習の肝は、独り善がりにならず、如何に説得力を身に付けることなのかな、と思った。

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2004.04.18

Wynton Kelly "Kelly at midnite"

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ハードバップ・ジャズのピアノ・トリオ。1960年の録音。
Wynton Kellyも同時代のジャズ・ピアニストの中では好みのタイプだが、このアルバムではPhilly Joe Jonesのドラムスに耳を奪われてしまう。トリオ編成なので、ドラムソロも多めに聞ける。
Philly Joeの叩きは、しなやかさと力強さを兼ね備え、スマートさの中にワイルドさを秘めている。同時代のArt Blakeyのファンキーさと比べると、演奏技術的にもずっと洗練されている。
当時は名実共に売れっ子で、多くのハードバッパー達と競演している。まさにハードバップを叩くために存在したドラマーだ。
個人的にはMilesよりもLee Morganのトランペットと絡んだ時の方が、Philly Joeの本領が発揮されているように思う。

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Pink Floyd "Atom Heart Mother"

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邦題"原子心母"
今以て不思議なアルバムだ。
特別に楽曲が優れている訳でもなく、演奏技術にも目立ったものはない。ましてやポップでもキャッチーでもない。
敢えてアルバム全体のイメージを語るならば、それは牧歌的な世界への誘いだ。暗く悲しいニュースに溢れた世界を脱して、緑豊かな田園に帰ろうと誘っているように聞こえる。
この不思議な世界観に、なぜか今も惹きつけられる。それがこのアルバムの唯一にして最高の魅力だ。音楽を創る側も聴く側も、大らかであった時代の遺産ではなかろうか。

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猪木武徳著「自由と秩序」

副題「競争社会の二つの顔」
裏表紙に「著者から読者へ」として次の一文が記されている。
市場機構と民主制---この二つの装置をいかに使いこなしていくか。いま求められているのは、自由・平等・秩序を同時に保持することの難しさを認識し、その困難を克服しようとする意志と知的粘り強さである。
変えられるものをどう改善し、変えられないものをいかに受け入れるのか、そこを見極めるための議論のベースを提供したい。

2001年の発行以来、再読を重ねている座右の一冊だ。
日頃から漠然と抱いている疑問や問題意識を、本著では的確に代弁してくれている。
例えば、民主制至上主義とも言える世論の傾きに対して、「すべての国民は、公共の福祉を識別する最も賢明な判断力を持つ者、公共の福祉を追求する最も有徳の人物を支配者と選ばなければならない。」として、代表民主制本来の利点を説き、更に「多数決原理を神聖視したり絶対視することは危険であり、さまざまな問題を引き起こす。」として、学級会の頃からの迷いを払ってくれている。民主主義は現在の人類社会には適当であるとは思うが、最も優れたものだとは感じていなかった。本書でも民主制の弱点について「民主制の社会は、つねに平均的なものへの傾斜、利己心への無制約な発現、私的生活への限りない没頭、公的な事柄への無関心に支配されやすい。」と例証してくれている。
またリーダーについても、「ある人物が好きか嫌いかということと、その人物が能力が有るか無いかということは必ずしも一致しない。」、「有能なリーダーにはある程度の有害さはつきものだ」と言及し、そのマキャベリズム振りにも好感を抱いた。
更に最近のイラクでの邦人誘拐事件を発端に多くの国民が意識した「個人と国家」という発想についても、日本では「個人の利己主義の行き過ぎを、国家がどう制御するのか」という問題意識が強く、「公共精神をすでに含み持った個人」という前提が弱いと指摘している。
本書は今後も時々再読して、考えの整理に活用したいと思っている。

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2004.04.17

Frank Sinatra "Come fly with me"

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飛行機での世界旅行をイメージした1958年のコンセプト・アルバム。発売当時5週連続で全米アルバムチャートNo.1を獲得している。
アルバム・タイトル曲の1曲目"Come fly with me"で晴れやかな青空に離陸。2曲目の"Around the world"では雲の上で夕暮れ迫り、心地良い睡魔が誘う。10曲目の"Brazil"ではホットにスイングしている。11曲目の"Blue Hawaii"は夕凪だ。
楽曲のバリエーションにも富み、全盛期のSinatraの歌唱が堪能できる。
眠る時に聴けば、楽しい旅の夢が見られそうだ。

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スティーヴン・ハウ著「帝国」

原題"Empire : A Very Short Introduction"
岩波書店が廉価で出した「1冊でわかる」と題した入門書シリーズの1冊。ところが読解力不足のためか、よくわからなかった。
西洋史を軸に帝国主義を説こうとしているが、話題が時空を縦横に彷徨い、学識不足の小生には付いていけなかった。また今世紀の帝国主義として、Microsoft WindowsやMcDonaldのハンバーガーの登場を期待したが、グローバリズムを含め言及が弱かった。
但し、書き出しで「帝国」を明解に言い当てていた。
流通であれ、金融であれ、メディアであれ、はたまたスポーツであれ、大きな組織であれば、それを嫌う人にとっては、「帝国」なのである。
また翻訳者の見市雅俊の「あとがき」が名解説で、読了感を救った。

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2004.04.11

寺尾聰"Reflections"

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日本歌謡史に残る"ルビーの指環"を含む1981年4月5日発売のアルバム。
今聴いても古い歌謡曲と片付けられないのは、楽曲と演奏の高い水準による。1曲目の"Habana Express"の爽快な疾走感に始まり、最後の"出航 Sasurai"の安息を得た充実感まで、全10曲において非常に洗練された音楽が一貫して提示されている。
ちなみに1981年には、大瀧詠一が"A Long Vacation"を、Southern All Starsが"ステレオ太陽族"をリリースしており、名盤豊作の年だった。

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The Tony Williams Lifetime "Emergency !"

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1969年3月録音のドラマーTony Williamsのリーダー・アルバム。ギターとオルガンによるトリオ。ロック色の強いジャズ。
目玉は何と言ってもJohn McLaughlinのギター。エフェクターで音を歪ませたり、チョーキングで半音上げたりと、ロック・ギタリストの技法で、ジャズに挑んでいる。結果として緊迫感ある仕上がりになっている。
特筆すべきは、1969年8月19日にMiles Davisは、ジャズ史に残る"Bitches Brew"セッションを開始する。そこにはMcLaughlinも招聘され、ここでも同じ技法でギターを演奏している。それまでギター嫌いだったMilesは、一転してその後ギターを重用するようになる。
つまりこの"Emergency !"によって、Milesはギターに目覚めたと推察される。Milesを衝撃させた音が"Emergency !"にあるのだ。

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安彦良和作画「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN ランバ・ラル編」

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地球侵攻軍総司令マ・クベ中将は、ドズル中将直衛部隊であるランバ・ラル大尉からのドム補充要請を断り、結果的にラルを見殺しにした。ラルは死に場所を求めるかのように戦い、散った。
ラルはドズルから、木馬を討ち、ガルマの仇を取れば、二階級特進の約束を得ていたようだが、ラルの本心はそこにはなく、不器用に戦い抜くことに、自らの存在意義を求めていたようだ。
青い巨星…墜つ。

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2004.04.10

安彦良和作画「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN ガルマ編」

先に1巻「始動編」で試作1号機左肩の砲身は1号機専用の装備だと思っていたが、本巻でアムロはそのショルダーキャノンの換装を整備員に要求し地上戦に出ている。つまりショルダーキャノンは、1号機と2号機を含めたRX78型のモビルスーツ共通の着脱可能な装備であった。これもアニメーションにはない装備だ。
また、ガルマとシャアとの再会シーンで、シャアが左手を差し出し握手を求め、ガルマがそれに応じているのが気になった。左利きなのか。それとも意味深だったのか。

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安彦良和作画「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN」

遂に読み始めてしまった。取り敢えず、1巻「始動編」と2巻「激闘編」まで。
面白い!!! アニメーションにはなかったエピソードも含まれ、ストーリーに厚みが増している。
例えば、試作機であるガンダムが2機あって、アムロが搭乗するのは2号機だった。1号機は最初のザクとの戦闘で喪失するが、2号機とは多少形状が異なり、左肩に砲身があり、目のデザインもガンキャノンに近いものだった。
他にもホワイトベースの本来の艦長であるパオロ大佐が予備役で、兵学校の元教官でもあり、更にその長いキャリアのスタートは魚雷艇乗りだったことなどが台詞に散りばめられている。
ともかく2巻までで、木馬はシャアの追撃を振り切り大気圏に入った。3巻からはガルマ・ザビ大佐の登場だ。
今夜はベッドで続きを読もう。

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2004.04.04

島田紳助・松本人志共著「哲学」

B&Bの島田洋七に影響を受け、お笑いの道に踏む込んだ島田紳助と、その島田紳助に影響を受けた松本人志の交換対論。
二人に共通しているのは、非常に頭が良く、充分に考えている点だ。流石と唸るほどの洞察力だ。
違いは多くある。紳助は組み立てていくタイプであるのに対し、松本は考え抜いたあとに出たとこ勝負をする。紳助は観衆と距離を置き、自分の芸で道を切り開くのに対し、松本は相方の浜田の役割を活用し、自身の独特な芸風を観衆に教え込み浸透させた。
そんな二人がお互いを分析し、自分を再認識している興味深い本だ。普段TVでは語られることがないような、まじめなネタだ。笑い捨てることなどできない笑いの哲学

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Tchaikovsky "Souvenir de Florence"

弦楽六重奏曲「フィレンツェの想ひ出」
2丁ずつのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロによる室内楽。
特に第1楽章最終部の水際立った緊迫感は鳥肌。退屈な交響曲に勝る迫力だ。それまでの室内楽の主目的である、サロンでのリラックスした音楽を脱し、コンサート・ホールでの聴衆相手の演奏を想定して作られた楽曲のように思う。
Sarah Chang (violin)とベルリン・フィルのメンバーによる2001年の録音盤にて。

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2004.04.03

TITLe May 2004

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CMガール特集。
わずかな時間で商品を宣伝するのに、若い女性を使うのは、古今東西において効果的なようだ。ただその女性のタイプは刻々と変わっている。特にCMアイドルは時代の顔だ。しかし時代を超えた顔もある。
掲載された68人のうち、特に優れた顔立ちだと思ったのは、表紙も飾っている加藤あいだ。目鼻立ちのバランスが非常に良く、デザイナーの手による工業製品のようだ。仮に彼女が男であっても美男子として多くの女性を惹きつけるだろう。所謂男顔とも言える性別を超えた美貌だ。
彼女は14歳から現在21歳までの7年間も、ドコモのCMに出演し続けている。ポケベル、シティフォン、iモードとドコモの歴史、つまりは日本の移動情報機器の歴史とともに彼女は歩んできた訳だ。まさに本物のCMガールと言えるのではないか。

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Aerosmith "Honkin' On Bobo"

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前掲のClaptonに比べると断然面白い。とにかく楽しい。
iPodに詰めて外に飛び出そう。春晴れの桜並木を行けば、必ず気も晴れるって感じだ。
無粋にもこの良さを考えてみると、ギミックやエフェクトなしのストレートさにある。料理に例えれば、活魚の舟盛りだ。それも鯛やシマアジといった淡泊さと歯応えのある魚だ。つまり煮たり焼いたり、味付けしたりの料理ではない。素材を活かした料理だ。
この種の音楽は、聞き手も楽しいが、それ以上に演奏している側の方が楽しい。その演奏者の楽しさが、聞き手にもフィードバックして、楽しさ倍増なのだ。これをライブで演られたら泥酔だ。

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