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2004.03.09

星野之宣作画「クビライ」

歴史コミック。先に紹介した安彦良和作画「アレクサンドロス」の姉妹本。
クビライ・カアンは、チンギス・カンの孫にして、モンゴル帝国第5代皇帝。当時モンゴル帝国は王家諸家の自治国家の集合体で、その中枢国家が元帝国。「元寇」の「元」だ。クビライはその元帝国の初代国王でもあった。しかしその地位も兄弟骨肉の争いの末に、40代半ばにして手にしている。本書ではそれを「チンギス・カンを信長に例えれば、クビライは家康」と書いている。
クビライの治世は、勇猛な遊牧民のイメージとは裏腹に、新首都建設や人工湖、大運河といった土木工事、税制の簡素化による貿易や流通の拡大、紙幣取引、天体観測など、大規模且つ多岐に渡った。クビライはまた、マルコ・ポーロにも謁見し彼を気に入り、17年間も引き留めた。
しかしなぜ、この繁栄を謳歌した大帝国が、取るに足らない東の小さな島国を二度までも攻めたのか。本書でその目的は大量移民にあったと描かれている。先に占領支配した南宋国の軍人のうち、老兵や病兵の処分先として日本を選んだに過ぎないと。
1281年の第2次日本遠征(元寇)では、4,500の船艇で非武装移民を含む14万人を送り込んだが、日本側の必死の水際作戦で強行上陸に失敗した船艇が、沿岸に立ち往生したまま暴風を受け撤退してしまう。「しかしこれで、日本人もようやく、海の向こうには強大な力と意志が存在していることを、肌身に感じたのだ。」
他にも首都大都の構造が鎌倉や平泉に似ていることから、クビライは祖父から何らかの影響を受けたのではないかとも書いている。つまり祖父チンギス・カン=義経という仮説にも触れている。
本書全体の印象は、淡泊で薄味だ。その分、更なる興味を誘う仕掛けにもなっている。

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