« 森岡正博著「意識通信」 | Main | 坂本龍一"CHASM" »

2004.02.29

矢作俊彦著「ライオンを夢見る」

表題作はヘミングウェイの足跡を追った紀行文。評伝としても読める。写真もよし。
併載している短編小説「Most Valuable Player」でも、ハバナ郊外を舞台に、ヘミングウェイと地元の子供達との、野球を通じた交流が描かれている。
もう1作併載されている「コンクリート謝肉祭」では、著者得意の毒舌悪態が炸裂している。実に痛快で心地良い。
それにつけても、ヘミングウェイは男の憧れだ。ヘミングウェイにとって文筆業は喰っていく手段であり、人生の目的ではなかったように思う。銃を愛し、海を愛し、闘牛と野球を愛し、酒と女を愛した。スペイン内戦も、ノルマンディー上陸作戦も、パリ解放も、自ら望んで出かけていった。ついには愛艇を駆ってナチのUボート狩りまで楽しんだらしいじゃないか。人生こそが冒険活劇なのだ。まるでフリーランスのジェームス・ボンドだ。羨ましい。都知事になるより、ずっと羨ましい。

|

« 森岡正博著「意識通信」 | Main | 坂本龍一"CHASM" »

Comments

お伺いしたら、期せずしてヘミングウェイの話題が…。
私も彼の「男っぽい帝王学」に憧れている一人です。
自伝的な遺作「海流のなかの島々」を読んで一気に陶酔してしまいました(笑)。ノスタルジックな前半から生と死を俯瞰しながら疾走する壮絶な後半へ。危険と隣り合わせでしか充実感を得ることができない男の生き方ですね。

Posted by: sunface | 2004.02.29 at 03:12 PM

はじめまして、リンクのリンクでこのHPにたどり着き矢作俊彦という名前に惹かれついキーをうってます。
あ、じゃぱん は買ったけど読んでません。家で最近、本を読む習慣がなく通勤電車が読書の唯一の場所なんで、あの手の大きな本はこまります。それ以前はほとんど読んでいます。
マイクハマーへの伝言での衝撃からもう何年もたっちゃいましたけど、暗闇にノーサイドあたりの感じをもっと期待したんですけどね!最近はどうなんでしょ?

Posted by: マルチオーディオ | 2004.04.16 at 05:51 PM

マルチオーディオさん、コメントありがとうございます。
「あじゃぱん」は面白かったですよ。「気分はもう戦争」以上の滅茶苦茶な世界が炸裂してました。パラレル・ワールド下の日本を描いた同種の小説である、村上龍の「五分後の世界」に比べると、百倍面白かったし、千倍の問題提起がありました。
私も初期の短編や「暗闇にノーサイド」、「ブロードウェイの戦車」など、文庫本で出ていたものは、あの頃ずいぶん夢中になって読んでました。
「ららら科學の子」は買って積んだままです。連休には読めるかな。

Posted by: umex | 2004.04.17 at 09:21 AM

最近の村上龍さんはどうも最後が・・・エクソダスもなあ!?って感じでした。愛と幻想のファシズムが好きかな?!
矢作さんはマイクハマーへの伝言が大好きです。横須賀育ちなので、リンゴオキッドの休日とかね!横浜イズムがすきでしたね!これからもよろしくお願いします。

Posted by: マルチオーディオ | 2004.04.22 at 12:41 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/7525/245694

Listed below are links to weblogs that reference 矢作俊彦著「ライオンを夢見る」:

» アーネスト・ヘミングウェイ『移動祝祭日』               〜在りし日のパリと彼の青春時代を書き綴った逸品〜 [食べて読んで聴いて観て...語り合おう!]
アーネスト・ヘミングウェイ『移動祝祭日』在りし日のパリとへミングウェイの青春時代を書き綴った作品 [Read More]

Tracked on 2004.07.25 at 09:48 PM

« 森岡正博著「意識通信」 | Main | 坂本龍一"CHASM" »